本ページはプロモーションが含まれています

【地域別】葬儀の特徴~富山県編~

2021年3月29日

ども まことじいさんです。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は富山県編です。

富山県は、県のほぼ真ん中に位置している呉羽山を中心として東と西が分かれ、呉羽山より西側を呉西(ごせい)、東側を呉東(ごとう)と呼びます。
お祭りや食文化、言葉の違いなど、様々な文化の面でも違いがあると言われています。

葬儀に関する習慣にも、それぞれに違いがあるようです。

浄土真宗大谷派

また、富山県は浄土真宗の檀家が多い地域で、特に富山市では90%が浄土真宗大谷派と言われています。

浄土真宗では、亡くなるとすぐに極楽浄土へと行き、四十九日の旅はないとの教えがあるので、香典の表書きは『ご霊前』ではなく『御仏前』となります。

通常、四十九日の法要を過ぎるまでは表書きを『ご霊前』としますが、浄土真宗の葬儀に香典を持参する際は、表書きを『御仏前』としますので、注意が必要です。

香典返し

一般的に、香典返しは四十九日の法要のあと、忌が明けてから半返しをしますが、富山県富山市の場合、香典返しは当日返しとなることが多いようです。

いただいた香典の金額にかかわらず、同一の返礼品をお返しとしてお渡しします。

香典返しは「おこころざし.com」送料無料のカタログギフトや、タオル・食品などを取扱。かけ紙・挨拶状等は無料対応

しきぶり

富山市水橋では、訃報の案内紙を『しきぶり』と呼び、身内が亡くなられるとすぐにご近所に配布されることが多いです。

富山市水橋以外にも、富山県内には『しきぶり』を配る風習がある地域があるようです。

『しきぶり』には故人名、故人年齢、故人住所、喪主名、亡くなった日、お通夜と葬儀の日時、町内送迎バスの配車場所・出発時間などが記載されています。
以前はハガキサイズのもがよく用いられていましたが、現在ではB5サイズのものがよく用いられます。

配り方は地域によってさまざまですが、地区によっては町内会長や班長が配ることもあるようです。

記帳はしない

一般的に、葬儀の際の受付には香典を渡す際に記帳するための「芳名帳」が用意されていることが多いですが、富山市水橋では、葬儀の受付の際に弔問者の住所・氏名を記帳するといった慣習はないようです。

水橋以外でも、富山県全域で芳名帳に記帳するという慣習は、ほとんど見られません。

北枕ではない

一般的に、ご遺体をご安置する時は、北枕にすることが多いですが、これはお釈迦様が亡くなった姿「頭北面西右脇臥(ずほくめんさいうきょうが)」頭を北、顔が西、右脇を下にしていたことに習っています。

しかし、富山市の水橋地区では「北枕」が必ずしも基準になるわけではなく、「仏壇」のある位置を基準にすることが多くなっています。

仏壇側に頭部の向きがくるようにし、足が仏壇に向かないように注意してご安置するのが一般的となっています。

通夜

関東地方などでは、一般参列者は通夜に訪れることが多いですが、富山県では、通夜には親族のみが参加し、一般の方は葬儀・告別式に参列することが多いようです。

富山県富山市の通夜振る舞いでは何人集まるのかはっきりと分からないのでオードブルの盛り合わせとお寿司などが振る舞われる場合が多いです。

また、弔問客にはお通夜菓子を持ち帰ってもらうことが多いです。

焼香銭

焼香時のお寺様のお香代として納めるお金のことで、一般的には焼香の際に100円程度をお盆の上に置きます。

富山市では通夜と初七日法要・回忌法要の時に行われますが、葬儀には行われません。

一方で、富山県の新川地区では自宅弔問時や通夜・葬儀・初七日法要・回忌法要すべてにおいて行われている地域もありますし、県西部では通夜・葬儀には行われず、初七日法要・回忌法要の時だけ行われています。

同じ県でも、地域によってしきたりはそれぞれに異なるようです。

友引にも葬儀

全国的に、友引の日に葬儀を行うのは、「友を引く」につながるとの考えから、避けられる傾向にありますが、富山県では、決して多くはないものの、友引にも葬儀が行われることがあります。

富山県では、友引の日に葬儀を行う際に、棺の中に身代わりの人形を入れる風習があります。

友引とは

実を言うと「友引き」は、仏教には全く関係ないもので、元々は「共引き」と書かれ、勝負がつかない事を意味していて、時間の吉凶を占う為の指標である「六曜」に由来するものです。

ですので、本来は「友引き」の日に葬祭儀式を行うことは、仏教の教義上、全く問題ありません。

しかし日本には、古くから言霊信仰というものがあるため、色々な行事の際に、縁起を担ぐ傾向があり、「友引き」の日に葬儀を避けるのも、その一例と言えます。

死華花

富山県では、一般的にお葬式の祭壇には『死花花(しかばな)』を飾る習慣があります。

『死花花』は、白い紙の横に細かく切れ目を入れ、それを木の棒に巻きつけて作られたもので、『死華花』や『四華花』と書かれることもあるようです。

この風習は、お釈迦様が亡くなった際に、その死を悲しんだ沙羅双樹が、真っ白な花を付けて遺体を覆ったことに由来します。

そのことから『死花花』を飾ることは、故人が涅槃に入ったことを表しているといわれています。

『死花花』は、葬列で親族が悲しみを表すために手に持ったり、棺の四隅に置かれたりして使用されます。

富山県の東部では白と黒、西部では白と緑の四華花をお供えします。

白装束

富山県の呉西の地域では、白装束を身に着けて火葬場に向かうという特徴があることで有名です。

この風習は富山県以外では、隣接する石川県の二つでしか行われていないと言われています。

葬儀の際に、遺族が白装束を身に付けるのは、不思議に感じる方も多いと思いますが、実は近年まで、日本では喪服といえば白だったのです。

明治維新後に上流階級を中心に、西洋文化の影響で黒の礼服を着用するようになり、庶民が黒い喪服を着用するようになったのは、第二次世界大戦後なのです。

善の綱

富山県には、出棺の際に白いさらしの布を棺に結び付け、遺族がその布の端を持って、引っ張るという風習が残っています。

もともとは、棺を火葬場や墓地へ運ぶ野辺送りの葬列で行われていた、『善の綱(ぜんのつな)』と呼ばれるしきたりでした。

この『善の綱』は、藤原道長の「御堂関白記」の中にある、「来迎仏(らいごぶつ)の手から5色の糸が垂れ、道長の手に結ばれる」という文章が由来となっているそうで、故人を善処に導く綱という意味が込められています。

残念ながら、昔ながらのやり方で行うことは年を追うごとに少なくなり、最近では、白い布を手に持つことで代用することも多くなったようです。

初七日の法要

本来、命日から7日後に行われる初七日法要ですが、現在では、葬儀当日に一緒に行われるのが、全国的にも一般的になってきています。

富山県ではその初七日法要を、お骨が上がる前にする場合と、お骨が上がった後にする2つのパターンがあります。

エリアで大きく分けますと、富山県東部では骨上げ前に初七日法要をし、富山県西部では骨上げ後に初七日法要が行われます。

浄土真宗大谷派が90%を占める富山市では、初七日の法要の際に渡す香典の表書きを『ご仏前』として、黄色の水引の封筒を使用することが多いです。

骨壺が大きい

骨壺は、遺骨を全て骨壺に納める『全部収骨』が多い関東地方では8寸、遺骨の一部を収骨する『部分収骨』が多い関西では5寸のものを利用することが多いですが、富山市のご葬儀で使用される骨壺は、素焼きの9寸タイプのものが多く利用されています。

富山市のみにかかわらず、富山県全域で比較的大きなサイズの骨壺が使われており、地域によっては1尺サイズの骨壺を、使用している地域もあるようです。

これは、お墓のサイズ自体が大きいことからきているものだと思われます。

一般的なお墓は、納骨室が地下に設置されていますが、富山県のお墓の多くは地上に納骨室があるため、他県のお墓に比べ、高さも幅も大きくなっているようです。

一般的にはお寺様が骨壺に故人の法名・俗名・住所・年齢などを筆で書き入れますので、素焼きタイプのものが多く使われているようです。

まとめ

富山県にはこの他にも、高岡市では参列者が焼香を行う前に遺族が退席するなど、地域によって様々な風習が残されているようです。
本来、浄土真宗では死華花は用いないことが多いのですが、浄土真宗の檀家が多い富山県に、死華花の風習が残っているのは不思議ですね。

富山県で多くみられる浄土真宗の葬儀では、他の宗派と異なり、亡くなった人は阿弥陀如来の力で、すぐに成仏するという「臨終即往生」の考えから、他宗派の葬儀とは作法が大きく異なります。

富山県の浄土真宗の葬儀に参列される方は、「よりそうお葬式」の『故人を極楽浄土へ送る。真宗大谷派の葬儀の流れとマナー』の記事が参考になると思います。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。