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【地域別】葬儀の特徴~大阪府編~

2021年4月3日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は大阪府編です。

大阪府は東京都の次に大きな都市であり、天下の台所とも言われていました。
大阪市と北大阪、東部大阪、泉州、南河内といった地域に区分されています。

最も栄えている大阪市は、梅田や北新地といった『キタ』と、道頓堀や心斎橋を表す『ミナミ』が代表的です。キタはデパートやホテルが立ち並ぶ地域で、一方のミナミは活気に溢れ、下町のような情緒も感じられる雰囲気を持ちます。

東京に次ぐ大都市である大阪の葬儀では、商業都市ならではの合理性と、地方都市に根付く古き良き風習の両方が見られます。

しきび

関西のお葬式の会場に行って、一番最初に目が入ってくるのが、高くそびえ立って並んでいる葉っぱだけの『しきび』と呼ばれる飾り物です。

『しきび』は、もくれん科の常緑樹で、その枝や樹皮から独特の香りが漂い、実や花には毒があります。

関東では「樒(しきみ)」と呼ばれ、宗派によっては、仏壇に飾られることもあります。

『しきび』のもつ独特の香りには、動物を遠ざける効果があるため、野犬が埋葬場所を掘り返さないように、対策として樒を一緒に埋葬するようになったようです。
また、死者の近くやお墓に供えると悪霊が退散し、死臭を清めるとして、別名「仏前草」とも呼ばれています。

その香りは香を焚くのと同じで、仏壇にもよく飾られています。

しかし最近では、地域の集会所や葬儀会館の規則で、表飾りが禁止されているところも多いため、大きなしきびは立てられなくなってきています。
そのため、しきびに代わる物として、「板しきび」「紙しきび」と呼ばれるものが、主に新興住宅地で用いられるようになり、今では大阪の至る所で見かけるようになりました。

水引が黄白

大阪府では、香典を包む袋に黄色と白の水引を使用する地域が多いようです。

元々は黒と白の水引を利用していましたが、黒は宮中で使用されていた、禁裏の玉虫色と似ていて紛らわしいことから、「喪を表す」黄色を使用し始めた事が、始まりと言われています。

また、地域によっては「香典袋は黒白、お布施は黃白」と使いわけられているケースもあるようです。

通夜振舞いはしない

関東では、通夜式のあとに故人を偲びつつ、僧侶や参列者をもてなす通夜振舞いを行うのが一般的ですが、大阪をはじめとする関西ではこの習慣がなく、実施しないケースも多いようです。

そのため、参列者はお焼香をして、通夜式が終わるとそのまま帰ることが多いようです。

放生

大阪府では、葬儀の際に鳥や魚を逃がす『放生(ほうじょう)』の儀式も行われているようです。

『放生』とは、仏教儀式の「放生会(ほうじょうえ)」から派生した儀式で、捕らえられた生き物の命を救うことで徳を積むという意味合いがあります。

葬儀の際に『放生』を行う習慣は、新潟県など、他の地域でも見られる風習です。

いちま人形

全国的に、火葬場は友引の日は休むところが多いですが、大阪府には、正月以外は開いているところもあります。

もともと「友引」は「共引」と書かれていて、六曜の中でも縁起の悪い日ではなく、共に引く「勝負なし、引き分け」という意味でした。
しかし、この「共」が「友」に変わり、「故人が友を冥土に連れて行ってしまう」という意味にとられるようになったのが、このような風習が生まれた原因と言われています。

また、大阪では友引の日にお葬式をする場合は、『いちま人形』と呼ばれる人形を、棺に入れる風習もあります。
故人が友や家族をあの世へ一緒に連れて行かない様に、代わりに『いちま人形』を入れる事で、それを避ける意味があるようです。

『いちま人形』は市松人形とも言われ、古くは裸の状態で売られていたもので、買った人が衣装を手作りして、着せ替え人形にしたという、子どもの遊び道具でもありました。

京都でも同様の風習がみられ、『とも人形』と呼ばれています。

骨壺が二つ

火葬が終わると骨上げをしますが、このとき、大阪をはじめとする関西では、頭部やのど仏、腕の部分など主要なお骨だけを拾い上げます。

そのため、骨壺のサイズは他の地域より小さい3寸(約9cm)から5寸(約15cm)のものを使用します。

関東地方では、「全部収骨」が一般的なので、大きめの7~8寸のものを使用することが多く、富山県では1尺のものを利用する地域もありますので、それと比較するとかなり小さいですね。

また、大小2つの骨壺を用意し、「本骨」または「心骨」と呼ばれる小さな骨壺にはのど仏を、それ以外のお骨は「胴骨」という大きな骨壺に入れて、片方を菩提寺に納めるケースもあるようです。

大阪府では、のど仏だけを納める骨箱と、それ以外の骨を入れる骨箱の2つを用意して、それぞれ収骨した後、残ったお骨はそのまま火葬場に、残していくことが多いようです。

お釈迦様のお骨は「仏舎利」として、世界中に分骨されて安置されていることから、大阪の収骨スタイルも仏教の教えに則ったものと考えられます。

仕上げ

大阪では、初七日の法要の後に、『仕上げ』と呼ばれる精進料理を振舞うことが一般的となっています。

高野豆腐や厚揚げは通常の精進料理でも、使われる頻度が高い料理ですが、通常四角形に切られて調理されるこれらの料理は、大阪府の精進料理では三角形に切られます。

この風習は、普段とは異なる行動を行うことで、日常と葬儀を切り離す「逆さごと」の派生として定着した風習であると言われています。

「逆さ事」にはこの他に、屏風を逆さにして立てかける「逆さ屏風」や、ぬるま湯を水にお湯を入れて作る「逆さ水」などがあります。

塩を踏む

葬儀から帰ってきた際に、身体に塩を振りかける「お浄め」は一般的に行われますが、大阪府では、出棺・火葬の後にお清めの塩を掛け、踏んでから自宅に入ります。

邪気を払うといった意味があるものですが、今ほど環境が整備されていなかった昔は、衛生面への配慮といった意味もあったようです。

生野区では儒教の影響

大阪市内でも生野区という地域は、特に在日韓国・朝鮮人の方が多い町として有名です。

韓国や朝鮮は儒教の国でしたので、在日の方も儒教のしきたりや習慣を日常生活に取り入れています。
そのため、お葬式や法事も儒教のしきたりや作法で行われることが多いようです。

生野区での葬儀の特徴は

  • 病院で亡くなっても、自宅には連れて帰らない。
  • 納棺の時に着せる衣装や準備するものが、日本のものとは異なる。
  • 祭壇の前にテーブルを置き、親族が集まって、一人ずつ故人にお酒を捧げる。
  • 全ての弔問客に食事を振舞う。(関西では、通夜振舞いの習慣は無い)
  • 遺骨は家に安置せず、埋葬するまでお寺などに預けておく。
  • 1年を通じて法事の回数が大変多い。

など多くの違いがあるようです。

まとめ

商業都市として長い歴史を持つ大阪府では、葬儀に関する習慣も、古くからのしきたりを受け継ぎつつ、合理的に変化しているようです。

基本的には、関西地域の葬儀の風習と大きな違いは見られませんが、香典に黄白の水引を使用するなどの点で、違いがみられます。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです