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【地域別】葬儀の特徴~静岡県編~

2021年3月28日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は静岡県編です。

静岡県は、日本の中央あたりに位置する東西に広い面積の大きい県です。そのため、風習によっては同じ県内でも地域によって大きく異なる点が特徴です。

また、静岡県の特徴の1つとして、JAが葬式/葬儀事業を行っている斎場が、県内に15ヶ所もあるということがあげられます。
県内のほとんどの市町村に葬式/葬儀を行えるJAがあります。

また、各自治体が火葬施設を運営しているため、火葬費用もほとんどの場合、地域の火葬場を無料で利用できます。

通夜

流れ通夜

静岡県西部の遠州地方のお通夜は『流れ通夜』と呼ばれる形式で執り行われます。

一般的な「通夜式」では、「開式⇒読経⇒焼香⇒喪主挨拶⇒閉式」という決まった流れで行われ、開式から閉式までの時間も決まっています。

これに対して、遠州地方では「一般のお参りの方は午後6時から8時までの間であれば、故人も遺族も式場に待機しているので、いつでもお参りに来ていただいて構いません。」という、しっかりと時間を区切らない形式になっています。

「流れ通夜」でも読経のような宗教儀礼はありますが、通夜開式時刻の前に親族のみで執り行われ、一般参列者が同席することはほぼありません。

通夜振舞い

静岡県では、一般的に通夜振る舞いと呼ばれる会食を、『通夜祓い』と呼びます。
遺族から『通夜祓い』へ招待された場合は、一口だけでも頂くのがマナーです。

静岡市などでは基本的に通夜祓いはありませんが、昨今では喪家がふるまうこともあります。
しかし、昔からの意識が抜けないためか、断る方が多いようです。

また、伊豆半島含む、裾野市・富士宮市などの東部地区では、お寿司などの大皿料理にお酒とおつまみの『通夜祓い』が出されますが、参加せずに帰る弔問客には、お菓子またはビールと会葬御礼としてお茶を渡すことが多いようです。

香典を確認?

静岡市などの中部地区では香典の即日返しが主流であり、葬儀の受付で香典を開封して中身を確認することが多いようです。

このため、他地域から訪れた人が驚いたとの話をよく聞きます。

調理などが余らないよう、『祓い膳』に出席する人には、あらかじめ会食のお席券を渡すことも多いようです。

浜松市などの西部地区では香典は即日返しが多く、葬儀会場には親族・一般・招客それぞれの受付があります。そして用意された香典箱に参列者自ら入れることで、お席券(食事券)や引出物の引換券が渡される仕組みです。

生活改善運動

御殿場市など生活改善運動」をおこなっている地域では、高額香典でない限り、香典返しはありません。

「生活改善運動」とは、北関東で『新生活運動』と呼ばれるものと同様の考えで、質素倹約を旨とし、相互扶助意識をもって生活することを目的とした運動です。

お隣の長野県でも、この生活改善運動を推進している地域があります。

仮門

出棺の際、玄関を使用しないしきたりは、全国各地で見られます。
一般的には縁側から棺を出すことが多く、縁側が無い場合は、窓から出すというケースもあるようです。

故人の魂が戻ってくることなく、無事に成仏できるようにという願いが込められている風習で、静岡県では、この願いがより強く感じられる風習があります。

それが『仮門』からの出棺で、地域によって材料や形式は多少異なりますが、ワラ、カヤ、葦(あし)、青竹などを使い、縁側や玄関脇などにアーチ状の門を作り、その門をくぐって出棺します。
静岡県沼津市では、青竹で作った仮門を2人で持つという風習があります。

仮門は冥土への入り口と考えられ、出棺が済んだあと、仮門は即座に壊されます。
出入り口であった仮門をなくすことで、魂が戻ってこられないようして、故人が迷わず成仏できるようにとの願いが込められているようです。

壊した仮門は、『門火(かどび)』を焚いて、燃やしてしまう地域もあります。

弔い組

都市部ではあまり見られなくなった習慣ですが、静岡県の農村部などの一部地域では、今でも近隣住民の相互扶助組織が残っており『弔い組』や『隣保班』、『隣組』などと呼ばれています。

近隣の家、数件ずつを1組とし、組内の家が葬式/葬儀を行う際は、会社を休んででも協力することが当然のこととされています。
会社側も、『弔い組』制度がある地域の場合は、制度を熟知しているため、葬式/葬儀時の欠勤に寛容であることが多いようです。

六文銭

仏教では、浄土へ向かうために、三途の川を渡るための渡し賃として、一文銭が六枚必要と考えられています。

本来は、故人の首から提げた頭陀袋(ずだぶくろ)に入れるものですが、現在は棺の中に入れることも多いようです。

静岡県でも、六文銭を入れる風習があり、老舗の葬儀会社では、なんと本物の寛永通宝を入れるところもあるようです。

現在でも、全国各地で紙に印刷した金銭を、同様の理由から柩に入れる風習は根強く残っており、東北地方では『百万円』や『一億円』などと書くこともあるようです。

撒き銭

日本の各地には、出棺のときや、火葬場や墓地に向かう葬列の最中に、小銭を撒く『撒き銭』という風習があります。

『撒き銭』は、長寿を全うしての大往生を祝う風習で、基本的に故人が数え年で80歳以上のときのみに行われます。

故人の生前の資産を他人に施すことによって、徳を積むことができると考え、「浄土で故人に便宜が図ってもらえるように」との願いが込められている風習です。

静岡県では、この『撒き銭』を、「花籠」という特殊な道具を用いて行う地域があります。
「花籠」とは、竹を緩く編んで作ったカゴのことで、竹竿の先につけて使用します。

この花籠は2本で1対となっており、2本ともカゴの底に和紙を敷き、白紙で小銭を包んだ「おひねり」を入れます。
「おひねり」には5円玉を用いることが多いですが、中に入れる小銭の数は、故人の年齢の数だけされており、現在では、クッキーやキャラメルなどのお菓子をばら撒くことで、代用をすることもあるようです。

撒かれた小銭は、葬儀と無関係の子どもが拾い集めたとしても、とがめられることはありません。

火葬

一般的に葬儀・告別式の後に火葬をすることを『後火葬』と呼びますが、葬儀・告別式の前に火葬を済ませてしまうことを『前火葬』と呼びます。

『前火葬』は主に東北地方で多く見られる風習ですが、静岡県では地域によって『前火葬』と『後火葬』とが混在している点が特徴です。

静岡県は全般的に『後火葬』が主流ですが、掛川市など一部地域では前火葬(骨葬)による葬儀がおこなわれています。

『前火葬』の場合、葬式/葬儀後に故人に会える「ご拝顔」が行われません。

故人に対面したい場合は、訃報を聞いたときに、遺族に申し出て、タイミングを確認することが必要です。

三角巾

三角巾といえば故人の額につけるものというイメージがありますが、静岡県の一部地域では遺族も額に三角巾をつけます。

白の三角巾は霊界に繋がるものと考えられており、故人をあの世とこの世の境界線まで見送るという意味をもっています。

静岡県の一部地域では、遺族や近親者が墓地に出向く際、額に白い三角の紙をつける風習があります。

この紙は、仏教で『宝冠(ほうかん)』と呼ばれる死装束の一部で、遺族らが身に着けることで、「私たちもあなたと同じ格好をして、三途の川の手前まで見送りますから、そこから先は、あなたひとりで行ってください」という気持ちを表しているようです。

迷わず成仏してくださいという願いが込められた風習です。

精進落とし

静岡県東部では、精進落としの会食を『祓い膳』、または『キチュウ(忌中祓い)』と呼ぶ地域もあります。

また、静岡県の御前崎市では、お葬式の会食で出される料理とは別に、黒豆の入ったおこわを食べるというしきたりがあります。
このおこわは『淋し』と呼ばれ、故人との別れを惜しむものです。

他にも、出棺の流れの中で、一口大のお餅を口にしたり、別れの酒として、お酒を一口飲むなどの風習がある地域もあります。

三日の法要

浜松市の仏式の葬儀では、繰上げ法要は初七日ではなく『三日目』、または『開蓮忌』と呼ばれる法要がおこなわれるのが一般的です。

浜松市で葬儀に招かれた際は、別途三日目法要分の香典を用意しておきます。
金額は1,000円~3,000円が相場です。

縁切り餅

静岡県の東部では、葬儀後に会葬者が帰る際に細かく切った『縁切り餅』を配って食べてもらう慣習があります。

土葬が行われていた頃の名残で、埋葬後にその場で餅を引き千切って食べるという、故人との食い別れの儀式とされています。

同様の習慣は、静岡県東部と接する、山梨県南部町でも見ることが出来ます。

まとめ

静岡県は東西に広く、大きく三つの地域に分けられます。三島市を中心とする東部地方、静岡市を中心とする中部地方、浜松市を中心とする西部地方です。

じいさんは、静岡県西部の浜松市在住ですが、中部地域や東部地域の習慣については、全くと言っていいほど知りませんでした。
それぞれの地域ごとに、文化や方言についても違いがあります。

また、それぞれの地域が接している他県の文化の影響も、少なくないようですね。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。