本ページはプロモーションが含まれています

【地域別】葬儀の特徴~京都府編~

2021年4月4日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は京都府編です。

かつての都、平安京が置かれた京都は、今でも歴史的建造物や風習が数多く残り、日本だけでなく世界中から観光客が訪れています。

京都の歴史はお葬式にも反映されており、京都特有の風習が多く残されているようです。

樒(しきみ)

通常、葬儀の際に供花として配されるのは、菊などが一般的ですが、京都では樒を飾ります。

樒はもくれん科の常緑樹で、その枝や樹皮から独特の香りが漂い、実や花には毒があります。
枯れることが無い常緑樹であることから、仏の永遠性を表しているとされています。

また、樒のもつ独特の香りには、動物を遠ざける効果があるため、野犬が埋葬場所を掘り返さないように、対策として樒を一緒に埋葬するようになったようです。
また、死者の近くやお墓に供えると悪霊が退散し、死臭を清めるとして、別名「仏前草」とも呼ばれています。

さらに、故人の枕元の花瓶にも樒を供えることによって、樒の強い香りが、死者を邪気から守るとも言われています。
樒は毒草なので、葬儀社が用意するのが一般的です。

友人形(ともにんぎょう)

日本では、友引の日は葬儀式場や火葬場がお休みであることが多いですが、京都府では友引であっても営業することが多いようです。

京都府では、友引の日に火葬を行う際、『友人形』や『供人形』という人形を棺に入れる風習があります。

これは、友引の日に火葬を行うことで、故人が知人を一緒に連れて行ってしまわないように、人形を代わりにするという意味があるようです。

『友人形』は木製に手書きで顔などが書き込まれた、こけしのような人形が使われます。

友引の本来の意味は「共に引く」、つまり「勝負なし、引き分け」という意味で、縁起の悪い日ではありませんでした。
ところが、いつの頃からか「共」が「友」に変わり、「友を引く」すなわち「故人が、友を冥土に連れて行ってしまう」という印象を与えるようになったようです。

黄色と白の水引

一般的に、香典には黒白の水引を使用する地域が多いですが、京都府では黄色と白の水引を使用します。

これは、黒は宮中で使用されていた、禁裏の玉虫色と似ていて紛らわしいことから、次に喪を示す色としての黄色を使うようになったと言われています。

逆縁の場合、火葬場へ行かない

親よりも先に子供が亡くなることを「逆縁」といいますが、京都府ではこの逆縁にあたる場合、故人の両親は火葬場まで足を運ばないという慣習があります。

逆縁は親不孝にあたるため、「火葬場まで行ってあげる必要はない」と言われていますが、これは表向きの理由で、実際には、子供に先立たれて深い悲しみに暮れる両親への、気遣いによるものと考えられています。

出棺に関するしきたり

霊柩車

京都府では、出棺時に利用する霊柩車についても独特のしきたりがあり、出発する霊柩車の進行方向を、可能な限り南または西方向へ出発し、途中にある鳥居をくぐらないように道を選ぶようです。

茶碗割り

京都では故人が出棺する際に、故人が普段使っていた茶碗を、玄関で割るという風習があります

故人が生前使用していた茶碗を処分することで、「現世に未練を残さず成仏して欲しい」という願いが込められた習慣のようです。

京都府だけでなく、近畿地方全域で行われている風習で、本来は故人の茶碗を割るのですが、最近では、実際の故人の茶碗ではなく、葬儀社があらかじめ用意した茶碗を割る場合もあるようです。

送り火

京都府の一部地域には、出棺の際に「迷わず成仏して欲しい」と言う遺族の願いを込めて、藁や和紙を焚く『送り火』の習慣があります。

出立ち膳

舞鶴市の一部地域では、出立ち膳を出棺前に食べます。

出立ち膳』は土葬が多く行われていた頃に、全国で見られ慣習ですが、現在では、限られた地域でのみ受け継がれているようです。

野辺送り前に、故人と会葬者との最期の食事となるのが『出立ち膳』ですが、食事といっても、舞鶴ではジャコ出汁のすまし汁をいただきます。
いわゆる八杯豆腐とも呼ばれる汁物で、「出汁6:酒1:醤油1」の割合のすまし汁に、賽の目に細かく切った豆腐を入れます。

そのため、舞鶴では小さくカットされた豆腐は、忌み嫌われているようです。

収骨に関するしきたり

違い箸

京都の葬儀では、お骨上げの際に、一本ずつ素材が違う箸を使う風習があります。

それぞれ竹製と木製の『違い箸』を使って、お骨上げをするというもので、「逆さ事」の一種であると考えられます。

他の地域では、あまり見掛けることのない習慣なので、驚かれることも多いようです。

部分拾骨

関東地方では、お骨上げの際に、お骨を全て骨壺に収める「全部収骨」が一般的ですが、京都を含む関西地方では、遺骨の一部のみを納める『部分拾骨』が多いようです。

『部分拾骨』とは、のど仏や頭部、腕など体の一部の、限られたお骨だけを骨壺に収める、西日本独自の風習で、残った遺灰は火葬場に残して帰ることが多いようです。

また、骨壺も関東地方では7~8寸(21~24㎝)の物を利用することが多いですが、京都では、小さめの3~5寸(9~15㎝)の物を利用します。

土葬

日本では、亡くなった人の99%以上が火葬されていますが、京都府の綾部市など一部地域では、今でも土葬が行われているようです。

粗供養

京都府では、『粗供養』と呼ばれる品物を、参列者に香典返しとは別に渡す習慣があります。

地域によっては喪主だけでなく、兄弟や親戚などが『粗供養』として配る品物を、持ち寄る場合もあるようです。

『粗供養』にする品物は1,500円前後を目安にする場合が多いですが、地域によって細かいルールが違うため、心配な場合は家族や親戚に確認した方が良いかもしれません。

京都市では、足を運んでいただいた事への交通費代わりとして、『粗供養品』に商品券やQUOカードを用いる事が多いようです。

まとめ

全国的に、葬祭儀礼の簡素化が進んでいますが、古の都・京都では、古くからのしきたりも多く受け継がれているようです。
京都の人は、直接的な表現を使わず、婉曲的に伝えることが多いですが、こういった気質は、事を荒立てないように、物事を遠回しに伝えようとする、日本人の誰しもが持っている部分かも知れませんね。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。