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【地域別】葬儀の特徴~新潟県編~

2021年3月19日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。

母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は新潟県編です。

野辺の送り

『野辺の送り』は、かつて土葬が行われていた頃には、出棺の際によく見られた風習で、ご遺体を埋葬地や火葬場まで、葬列を組んで運び送る儀式です。

供え膳や水などを近親者が持って続き、清めの作法として米や銭を撒いたり、松明の火を魔払いに使うといった、様々な意味のある儀式を行う大切なものでした。

最近ではほとんど廃れてしまったお葬式の儀式ですが、新潟県の農村部や郊外では、今でも行われている地域もあるようです。

通夜振舞い

東京をはじめとする関東圏の習慣では、通夜振る舞いの席では軽く口を付けて、順次退席するのが一般的ですが、新潟市内では喪主挨拶が終わるまでは、腰を落ち着けて残るのが礼儀とされています。

お香典

全国的に通夜・葬儀の際に出すお香典には、『ご霊前』または『御仏前』と表書きをするのが一般的ですが、新潟県では地域によって様々な習慣があるようです。

お燈明料

一般的に、通夜・葬儀の際の香典袋の表書きは『ご霊前』(浄土真宗では、他力本願の往生即成仏の考えから『御仏前』)ですが、新潟県では、親戚が亡くなった際には香典の表書きに『御灯明料』と書くことがあります。

また、通夜には「通夜見舞い」や、米を持参することもあるようです。

親戚以外の場合は、通常通り『御霊前』または、『御仏前』です。

御明かし料

阿賀野市周辺の地域では、香典とは別に『御明かし料』、または砂糖や日本酒、野菜にお米などの食材を通夜の弔問の際に持ち寄る地域があります。

かつて隣組が総出で葬儀を手伝っていた頃、各家がろうそくと線香、食材を持ち寄り、お斎などの料理を作って喪家を金銭・物資ともにサポートしていた習慣の名残のようです。

紅白の水引を付けた『お見舞い』

新潟県柏崎市周辺などの一部の地域では、通夜の際に香典だけでなく紅白の水引をかけた『お見舞い』を出すことがあります。

これは、入院中お見舞いに行けなかったことを詫びる気持ちが込められていると言われています。

昔は、香典袋は用意せず、紅白の『お見舞い』だけを出す人もいたそうです。

事情を知らない人からすれば、驚くような風習ですが、地元の人にとってはそれが常識であるため、他の土地のお葬式でも、紅白のお見舞いを出してしまう人もいたようです。

招待制

魚沼市など中越地方の一部地域では、玄関に葬儀日程を貼り出して周りに知らせますが、葬儀告別式は招待された人のみが参加します。

招待されなかった人は、出棺の際に玄関先でのお見送りをすることしか出来ません。

また、招待以外の人が弔問する場合は通夜に訪問しますが、香典等は持たず、ただお焼香をして帰ります。

出馬のむすび

佐渡島では葬儀で僧侶が読経をおこなう中、参列者全員でおにぎりと煮しめに御漬物、またはおまんじゅうを食べる習わしがあります。

中には一本箸で赤飯を食べる地域もあるようです。

真言宗では故人が三途の川を渡っている最中に、餓鬼に邪魔された時に差し出す食べ物として、故人に代わって参列者全員で食べて後押しするために行う儀式です。

また、日蓮宗が多い地区では、お釈迦様が説法の場としていた、霊鷲山を浄土とする霊山浄土の信仰があり、無事登れるようにとの願いをこめて、力づけの食事を故人に代わっていただきます。

この食事は読経中に済ませなければならないため、誰もが大慌てでいただくようです。
往生即成仏である浄土真宗の葬儀でも、この慣習があります。

お餅を51個供える

新潟県の五泉市では、通夜の際に49個のお餅に加え、大きい餅または饅頭を2個、合わせて51個お供えする地域があります。

これは、人間の関節の数が49個あり、閻魔様から針で関節を刺される試練があるとされていて、その痛みを和らげるために餅をお供えすると言われています

葬儀後、お餅は参列者が自由に持ち帰ることが出来ます。

放生

出棺の際には、地域により様々な儀式が行われていますが、新潟県で行われている『放生』と呼ばれる儀式もそんな中の一つです。

『放生』は空に鳥を放したり、金魚を池に逃がしたりする儀式です。

殺生を戒める仏教の儀式『放生会(ほうじょうえ)』が元になっていて、このような善行を行うことで故人に徳を積ませ、故人があの世で厚遇されることを願う、遺族の気持ちが込められています。

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火葬後は赤いロウソク

新潟県では、火葬が終わるまでは白いロウソクを使いますが、火葬後の法要からは赤いロウソクを使うことがあります。

一般的に、弔事では黒や白の色が使われることが多いですが、これを慶事を表す赤に変えるのは、故人が世俗の垢にまみれたこの世から浄土へ帰るのは、おめでたいことであるという考えからという説や、葬儀に関わる一通りの儀式を終え、日常に戻るという意味があるからなど諸説あるようです。

臨終と同時に、阿弥陀如来の力によって、西方浄土へ往生すると考える浄土真宗では、年忌法要の際に赤色のろうそくを用います。

また、本願寺派は三回忌法要から、大谷派は四十九日の忌明けから用いるのが一般的です。

この他、地域によっては御赤飯を精進落としの席で出す、黒塗りの御膳を朱塗りのものに変えるといったところもあります。

骨箱

新潟県では、収骨の際に骨壺ではなく、骨箱に納めることが多いようです。

お墓に納骨する際は、サラシの納骨袋に入れて納める地域もありますが、霊園によっては骨壺での納骨が義務付けられているところもあるため、その場合は納骨時に骨壺に入れ直すこともあるようです。

寒冷地では骨壷が寒さで割れてしまうことがあるので、納骨袋はよく用いられています。

前火葬

新潟県が後火葬が主流ですが、村上市周辺地域と佐渡地方では、前火葬による『骨葬』が行われています。その他に、新発田市・関川村・阿賀野市でも『骨葬』で弔うことが多いです。

葬儀の流れは、通夜→火葬→葬儀・告別式の順で行うケースと、火葬→通夜→葬儀・告別式の順に行うケースの2通りあるようです。

骨葬では土葬の頃のならわしがそのまま残っていることが多く、当日に納骨を済ませることもあります。

注意点

前火葬の場合、葬儀は遺骨を祭壇に安置しての『骨葬』になってしまうため、最後のお別れに顔を見ることが出来ません。

最後のお別れをしたい方は、事前に確認が必要となりますので、注意してください。

みちわけ

胎内市には、「はっけおき」、または「巫女どん」と呼ばれる、青森県の「イタコ」や沖縄県の「ユタ」のように、口寄せをする女性たちがいます。

「はっけおき」は古くからこの地に在る、民間信仰の一つです。
四十九日の忌明け後に、故人が生前に伝えたかった言葉を聞きに、遺族が「はっけおき」の元を訪れます。
これが『みちわけ』という儀式です。

また、毎年1月~3月は家族の健康などを視てもらいに訪れることを、『はるばけ』と言います。

まとめ

全国的に葬祭儀礼の簡略化が進んでおり、大都市圏では宗教家を呼ばずに行う無宗教葬や、通夜・葬儀を行わず火葬のみを行う直葬(火葬式)、通夜式を行わず葬儀・告別式のみ行う一日葬など、さまざまな葬儀スタイルが登場しています。

そんな中、新潟県では各宗派の仏教の講中が、今も多くの町や村に根付いており、地元のお祭りや慣習にも関わっているため、今なお昔からの慣習を大事にした葬儀が、執り行われているのが特徴のようです。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。