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【地域別】葬儀の特徴~岡山県編~

2021年4月8日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は岡山県編です。

岡山県は、桃太郎伝説発祥の地としても知られ、大和朝廷が繁栄していた飛鳥時代に、大和地方と並ぶ力があったと言われています。

岡山県北部は、鳥取県と隣接しており、山深い中国山地と盆地になっています。
そして、中部には吉備高原があり、南部は瀬戸内海とつながっていて、穏やかな平野が広がっています。

同じ岡山県内でも、地域によって環境も気候も異なるため、葬儀の風習も地域によって違いがみられます。

枕飯が生米

一般的に、自宅に遺体を安置する際に、故人の枕元に茶碗に一合のご飯を山盛りにした「枕飯」を供えますが、岡山県勝田郡の一部地域では、枕飯のことを枕米と呼び、1合ほどの米を、炊かずにそのまま白い紙に包んで供える風習があります。

湯灌

岡山県では、かつて土葬が主流だった頃は、湯灌は家族がおこなうことも多く、生者をお風呂に入れるように、故人に声をかけながら、故人との最後のスキンシップを行っていました。

全国的には、亡くなった方の身体を、湯に浸したタオルなどで拭き浄めることで、湯灌としている地域が多く、場合によっては省略されることも少なくありません。

しかし、岡山県内の葬送業者では、一般的な葬儀プランに湯灌が組み込まれていることが多く、他地域よりも積極的に湯灌が行われているようです。

葬儀組

岡山県では、隣組や講といった、ご近所づきあいと寺院との結びつきが強い地域が多いようです

かつては、隣組の中の『葬儀組』が葬儀運営の一切を担っていましたが、岡山市の中心部などの都市部では、葬祭業者が代わりにおこなうことが多くなりました。

パンを持ち寄る

岡山県の真庭市や津山市などでは、葬儀の際に参列者が菓子パンを持参する慣習があります。

葬儀でパンを配る習慣は、島根県など山陰地方に多く見られ、喪家が菓子パンを用意して粗供養品として配ります。

しかし、岡山県では喪家ではなく、精進上げの会食まで参加する葬儀の参列者が持参します。
そして会食終了後に、持ち寄った菓子パンをみんなで分けて持ち帰るのが岡山流です。

元々、島根県では葬儀の際にお餅をついて、あんこ餅を参列者に振舞っていましたが、あんパンが普及したことで、返礼品は餅からパンにとって代わりました。

その慣習が、岡山県にも伝わったようですが、伝わる過程で、参列者が持ち寄る形に変化したようです。

くがい

岡山県西部の備中地方では、香典のことを『くがい』と呼ぶ習慣があります。

備中地方では農村が多く、現金の代わりにお米を香典で渡していたことの名残と言われています。

また、香典返しは「茶の子」と呼ばれ、熨斗にも「茶の子」と書きます。

この「茶の子」とは、一般的にはお茶請けに出すお菓子をいいますが、中国地方や四国、九州地方の一部地域では、法要の際の返礼品の呼び名として使われているようです。

夜伽(よとぎ)

岡山県では、通夜は遺族と近親者のみで行われることが多く、通夜振舞いも茶菓子程度の質素なものが、弔問客に一袋ずつ手渡されるのが一般的なようです。

最近では、数時間で終わるのが一般的な「通夜」ですが、本来は近親者が故人の傍で朝まで過ごすのがしきたりでした。

岡山県では、通夜のことを『夜伽』や『伽』と呼ぶことがありますが、一晩中眠ることなく付き添うことを意味するこの呼び方は、本来の通夜を表していると言えます。

立飯(たちは)

葬儀・告別式が終わった後に出される「精進落とし」の食事には、地域によってさまざまな特色や呼び名がありまが、岡山県では、出棺前に出される精進落としの食事のことを『立飯』と呼びます。

美作地方の一部では、喪主と僧侶が「立飯」として生米や塩を食べる真似をすることもあるようです。

現在では、葬儀開始前に巻き寿司や助六寿司など、軽いもので済ませるのが一般的です。

放生(ほうじょう)

岡山県北部などの山間部や、農村では、『放生』の儀式を行う地域があります。

放生』とは、故人の子どもや孫が、捕まえてきた魚や鳥を逃がす儀式のことを言います。

これは、仏教の教えの中にある「放生会」から派生したもので、捕まえた生き物を逃がすことで、功徳を積むことができると考えられています。

故人の子どもや孫が、放生を行い功徳を積むことで、故人があの世で良い扱いを受られると、考えられているのです。

茶碗割

岡山県では、出棺の際に『茶碗割り』と呼ばれる儀式を行う風習があります。

『茶碗割り』は、出棺前に故人が愛用していた茶碗を割ることで、現世への未練をきっぱり絶って、成仏して欲しいという遺族の願いが込められた習慣です。

この『茶碗割り』の儀式は、かつては全国各地で行われていましたが、近年では騒音などの理由により、行われることは少なくなっているようです。

置き布

岡山県には、故人が生前に着ていた着物を、身内の女性が持って出棺に立ち会う『置き布』という風習があります。

『置き布』に使用された着物は、葬儀が終わった後、菩提寺に納められます。

七本塔婆

一般的に、法事やお墓参りの際に塔婆を1本立てますが、岡山県には、火葬の当日に納骨をする場合に、塔婆を四十九日までの間、七日ごとに立てて供養を行う『七本塔婆』の風習が残る地域があります。

塔婆を7日ごとに立てることで、故人が、臨終〜四十九日まで冥土の旅をして、7日ごとに裁きを受けていく過程を表していると言われています。

仏教の考え方では、、死者は四十九日目までの間、七日ごとに生前の所業などを、閻魔大王に裁かれると言われており、四十九日はその最後の判決が行われる日です。

曹洞宗や真言宗では行われることの多い風習ですが、塔婆供養がそもそも存在しない浄土真宗では、このような風習は存在しません。

看経(かんき)

岡山県では、同じ宗派の近所の集まりである「講」が、葬儀後七日ごとに喪家に訪れて、遺族とその親族と共にお経をあげる『おかんき」』と呼ばれる風習があります。

遺族は、四十九日の法要までの間、故人が無事に四十九日間の冥土の旅を終えられるよう、祈りを込めて毎日『おかんき』を行います。

かんきとはお経を唱えることで、法要後に供物分けした物はかんきの実と呼ばれており、倉敷市では粗供養品も、かんきの実と呼びます。

『講』による念仏供養などは、かつて全国各地で見られた光景ですが、地域の繋がりが希薄になっている現在では、こういった風習が残っている地域も少なくなっているようです。

火車(かしゃ)

新見市にある、曹洞宗の高林寺、真言宗の木山寺、天台宗の円蔵寺には、『火車』と呼ばれる妖怪にまつわる伝承があります。

『火車』は、葬儀の際に死者を奪い、喰らうとされる妖怪で、日本各地に伝わっています。

『火車』から故人を守るために、棺の中に鎌や鉈などの刃物、または鏡を置く、妙鉢を鳴らすなど、地域によって様々な方法がとられているようです。

土葬

岡山県津山市の一部地域では、今でも土葬が行われていますが、葬儀社を利用せず、地元の自治会や隣組の中にある葬式組によって、昔ながらのお葬式が執り行われます。

喪家には一切手伝わせず、組の人たちが料理をはじめ、祭壇や四華花、幟旗や仮門といった葬具を手作りし、鐃鈸や太鼓などを鳴らしながら練り歩く、野辺送りの葬列が今も行われています。

天冠

津山市などの北部地域と倉敷市の一部地域では、出棺の際に棺を担ぐ人が、「天冠」と呼ばれる三角形の布を額に巻く慣習があります。

こういった習慣は各地に残っており、死者と同じ格好をするのは、「この世の縁までお見送りしますので、その先は一人で行ってください」との意味を表しているようです。

まとめ

全国的に、葬祭儀礼の簡素化が進む中、岡山県では、民間信仰と仏教が習合した、独自の葬儀の慣習が残されているようです。
また、昔からの地域の繋がりが強いため、地域ごとに行われてきた、古くからの慣習も受け継がれています。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。