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【地域別】葬儀の特徴~兵庫県編~

2021年4月6日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は兵庫県編です。

兵庫県は、大都市である神戸や、高級住宅街として知られる芦屋など都会的な地域がある一方で、瀬戸内海や日本海側に位置する、海や山など自然に囲まれている地域があります。
そのため、同じ兵庫県内でも地域によって、葬儀の風習には違いがみられます。

関西地方にある兵庫県は、近隣の都道府県と影響し合いながら発展を遂げてきたため、お葬式文化においても、近隣地域と似た風習があるようです。

南枕から北枕に

仏式のお葬式では、ご遺体の安置は頭を北に向ける「北枕」にするのが一般的です。
これは、お釈迦さまが亡くなったとき、頭を北に、顔を西に向けていた姿をしていたことに由来すると言われています。

しかし、兵庫県・丹波地域の一部では、住職が枕経をあげるまでは、ご遺体を南向きで安置する習慣があります。

この習慣には『枕経までは病人』という考えがあり、枕経を終えることで『故人』になるとされ、そのタイミングでご遺体を北に向きを変えます。

樒(しきみ)

お葬式で、故人に供える花のことを「供花」と言い、全国的には、菊などの生花が使われるのが一般的ですが、兵庫県ではこの供花に『樒』だけを用います。

『樒』はもくれん科の常緑樹で、その枝や樹皮から独特の香りが漂い、実や花には毒があります。

枯れることが無い常緑樹であることから、仏の永遠性を表しているとされています。

また、故人に悪霊が寄ってこないための魔除けの意味もあるようです。

しかし、最近の兵庫の葬儀ではドライアイスが使用されるようになっていますので、樒ではなく菊などの生花を供花にする地域が増えています。

隣保班

兵庫県では、『隣保班』と呼ばれる、近隣住民の相互扶助組織があり、葬儀における受付業務や会食の準備などを通してご遺族らを支えます。

また、岡山県寄りの西部地域では、『株」』と呼ばれる組織が、料理の差し入れや受付などの葬儀のお手伝いをします。

黄色と白の水引

近畿地方の一番西側になる兵庫県のお葬式では、大阪府と同様に、香典袋に黄色の水引を使用する風習があります。

兵庫に近い大阪や京都などでしか見られない風習です。

この習慣は、黒は宮中で使用されていた、禁裏の玉虫色と似ていて紛らわしいことから、次に喪を示す色としての黄色を使うようになったと言われています。

焼香に関するしきたり

水焼香

葬儀の際の御焼香と言うと、火の入った炭の上に抹香を乗せる、いわゆる火種焼香が一般的ですが、兵庫県の神戸市周辺では樒の葉に水を付け、その水を棺に3回振りかける水焼香を行う地域があるようです。

樒はとても香りが強い植物の為、水に香りを与え故人に供えることで、抹香を使った焼香と同じ意味があると言われています。

焼香銭

長田区、中央区等の神戸市の一部地域では、通夜や葬儀告別式に参列して焼香を行う際、香炉の脇に置かれたお盆に数百円の小銭を置いてくる『焼香銭』という風習があります。

この小銭は、最後に喪主から寺院に、「お香代」としてお渡しする習わしです。

留め焼香

一般的に、葬儀の際の焼香は、故人に近い身内の方から行うことが多いですが芦屋市では、焼香の最後に親戚や血縁の濃い人が焼香する『留め焼香』という風習があります。

これは血縁の濃い年配者を最後にもってくることで、会葬者の焼香の順番に不備があったとしても、容赦いただきたいという思いから生まれた習慣のようです。

また、こうすることによって、「その家族の不幸を終わらせる」という意味も併せ持っています。

出棺に関するしきたり

三度回し

兵庫県の播磨地方では、『三度回し』といわれる風習があります。

これは、葬儀を終えて火葬場へ向けて出棺をする際、家族等近親者で棺を回すというものです。

この風習には、故人の方向感覚を狂わせることで、『こちらに戻ることなく、しっかり成仏して欲しい』という遺族の願いが込められています。

また、「回る」という儀式は、古来から人と神霊がつながる儀式とされており、減罪信仰の意味で行われるとも言われています。

茶碗割り

西日本独特の葬儀の際の儀式として、故人が使用していたお茶碗を割る『茶碗割り』という儀式があります。

仏教では、死後49日までは、まだ故人の魂は現世をさまよっているとされているため、故人が、愛用していた品を頼りに、家に戻ることが出来なくすることによって、迷わず成仏して欲しいという願いを込められた習慣です。

この『茶碗割り』の儀式ですが、兵庫県の川西地方では、女性がおこなう仕事となっているようです。

髪納め

兵庫県の加東市周辺では、故人の髪を切って菩提寺に納める『髪納め』という習慣があります。

枕経の際に頭の上、左、右と3ヶ所から髪をはさみで切り、それを半紙に包んで寺へ出向き、その髪の入った半紙を菩提寺に納めるというものです。

収骨

関東地方では、遺骨全てを納める「全部収骨」が一般的ですが、関西地方では「のど仏」や「頭部」「上腕」など体の一部を納める「部分収骨」が主流で、神戸市も、その一つです。

このため、用意される骨壺も「全部収骨」の地域では、7~8寸(21~24cm)のものを使用することが多いですが、神戸市周辺では小さい3~5寸(9~12cm)のものを利用するようです。

規格葬儀

神戸市には、市民の葬儀費用の負担を軽減するために、市が定めた葬儀内容(規格)を低価格で利用出来る規格葬儀の制度が設けられています。

規格葬儀は、市が指定する規格葬儀取扱店に申し込むことで利用できます。

おにぎりを投げる

淡路島では、三十五日法要を開くことが多いようですが、一部地域には法要前におにぎりを投げる習わしが残っています。

これは、参列している人たち全員が後ろ向きになって、山のふもとに向かって、おにぎりを投げて転がすというもので、おにぎりのカタチも転がりやすいように、三角ではなく丸形にするそうです。

この風習は、三十五日法要の際に、山からだんごを転がす「だんご転がし」という昔ながらの風習が変化し、だんごからおにぎりになったと言われています。

まとめ

北は日本海に面し、南は瀬戸内海から淡路島を介して太平洋へと続く兵庫県は、京都や大阪と共に一大経済圏の一端を担うと同時に、農山村、離島まで、さまざまな地域で構成されており、歴史や風土、産業などの違いから、摂津(神戸・阪神)、播磨、但馬、丹波、淡路の個性豊かな5つの地域に分けられます。

そのため、葬祭儀礼に関する文化も、それぞれの地域ごとに独特の習慣ががみられます。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。