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【地域別】葬儀の特徴~青森県編~

2021年3月1日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は青森県編です。

津軽地方と南部地方での参列の違い

青森県では全般的に通夜への参列が主で、葬儀には親族のみが参加することが多いのですが、南部地方では逆に一般の参列者は葬儀に参列し、通夜は親族のみで行われることが多いようです。

殯(もがり)の風習

古代日本では、葬儀の前の一定期間仮小屋に遺体を安置し、門の前に長い木の棒2本をXの形に飾り親族が共に過ごす殯(もがり)と呼ばれる風習がありました。

現在の通夜の元になった風習ですが、青森県では現在でも忌中を示すために、家の門前や玄関前に2mほどの棒2本を交差させたものを飾る『もがり』を行います。

一部の地域では、葬儀を終えた家に近所の人が集まり、そこで遺族をねぎらう『ゆどき』と呼ばれる風習もあります。

火葬

青森県では、通夜の前に火葬を行う『前火葬』が行われます。

津軽地方の文化の影響を受けた、北海道南部の函館などにもみられる風習ですが、これは青森県の過酷な気候のため、親族が参列するのに時間がかかることが理由とされています。

また、津軽藩初代藩主の津軽為信公が京都で亡くなり、津軽に戻ってから弔いをするために、火葬してから搬送したことに由来するとの説もあります。

『前火葬』の場合、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。

最後にお顔を見てからお別れしたい場合は、事前に火葬のタイミングを確認しておく必要があります。

取り越し法要

本州でも、葬儀の簡略化に伴い、初七日の法要を葬儀の後に、繰り上げて行うことが増えていますが、青森県では四十九日の法要や、百箇日法要も同時に行う『取り越し法要』が葬儀の後に営まれます。

こういった法要の形は、厳しい気候のため親族が集まるのも容易ではない地域ゆえのものであり、四十九日の法要などは近親者のみで正式な日付に改めて行われます。

納骨

他の地方では、四十九日の法要の後に納骨するのが一般的ですが、青森県では葬儀告別式のすぐ後に納骨します。

これも「取り越し法要」と同様に、親族が集まっているうちに納骨を行ってしまい、無駄な往来を減らすためのものと言われています。

納骨は骨壺から出して行う

納骨は通常、骨壺や収骨袋などに入れた状態で行われるのが一般的ですが、青森県では骨壺から遺骨を取り出して、お墓の納骨スペースの土の部分に直接撒きます。

これは、先祖と一体になり土に還るのが自然という考えに基づくものと思われます。
このため、納骨後に遺骨を移すことや、分骨することは困難になります。

また冬季に亡くなった方の遺骨は春になって雪が解けてから納骨します。
それまでは、遺骨を自宅の仏壇に安置しておきます。

位牌を二つ用意する

青森県では、位牌は二つ用意されます。
一つは自宅の仏壇に安置され、もう一つは菩提寺の本堂奥に設置されている位牌安置所に安置されます。

こうすることによって家族だけでなく、菩提寺でも常に供養を受けられます。

因みに、じいさんが暮らす遠州地方でも葬儀の際に白木の位牌を二つ用意し、初盆までの間は自宅の祭壇と菩提寺の両方に安置されることが多いです。

香典返し

本州では四十九日の法要の後で、香典返しを改めて贈ることが多いですが、青森県では香典を渡した当日に返礼品を渡すことで、香典返しとします。

芳名帳も用意されていないことが多いので、香典の内袋に住所・氏名・連絡先を明記しておきましょう。

盛り篭

通夜・葬儀の際、祭壇わきに盛り篭が供えられますが、青森県の盛り篭は一般的なものより背の高い搭状につくられます。

訃報

最近では見掛けることが少なくなった新聞の訃報欄ですが、八戸を中心とする南部地方では、現在も告知方法として活用されています。

これにより、親族以外の知人などに個々に連絡する手間を省き、新聞で訃報を知った知人が参列します。

このため、南部地方では通夜は親族のみが参列し、親族以外は葬儀に参列することが多いようです。

その他の珍しい風習

一般的な忌明けは四十九日の法要の後になりますが、青森県の津軽地方では五七日(35日目)、南部地方は三七日(21日目)となります。

また、岩手県との県境にある三戸町の周辺地域では直径30cm、重さ4kgほどもあるお饅頭5個を祭壇に飾る風習があります。

まとめ

前火葬や取り越し法要など独自の葬儀文化をもつ青森県ですが、この文化は北海道南部の函館周辺にも影響を及ぼしており、似たような葬儀文化が存在します。

厳しい環境に適応するために生まれた風習であるとともに、アイヌ民族の存在も関係しているのかも知れませんね。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。