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【地域別】葬儀の特徴~福井県編~

2021年4月1日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は福井県編です。

福井県は、敦賀市と南越前町を境として、「領南地方」と「領北地方」の二つに分かれます。
領南地方は文字のごとく南の地域で、敦賀市より西側の地域を指し、領北地方は北側の地域で南越前町より東や北の方角にある地域を指します。

禅宗

福井県の領南地方には禅宗の寺院が多いため、葬儀の際に「故人が生前使用していた茶碗を出棺の際に割る」、「玄関先で藁を燃やして送り火を焚く」、「故人の棺にお米を撒く」といった儀式が行われます。

故人の茶碗を割るという風習は、「戻ってきてもご飯はないですよ」という意味を持ち、魂が戻ることなく成仏するように願って行なうものです。

浄土真宗の寺院が多い領北地方では、このような儀式はあまり行われていません。

納棺

福井県では、柩に刃物を入れるという習慣があり、男性はカミソリ、女性はハサミを納めます。

かつては湯灌の際、男性は髭を剃り、女性は髪を短く切るという風習がありましたが、現在では、カミソリやハサミを入れることで、髭剃りや断髪の代わりとしているようです。

回り焼香

福井県では昔から、通夜・葬儀の弔問客が非常に多く、『回り焼香』という風習が残っています。

『回り焼香』とは、通夜・葬儀に参列した際、焼香が終わった人から帰っていく慣習のことで、大勢の弔問客が、スムーズに焼香を済ませることが出来るように工夫されたようです。

福井県では現在も、参列者は焼香を終えたら帰ることが一般的とされています。

御詠歌

福井県の一部の地域では、お葬式に『御詠歌』というものを歌う風習が残っています。

御詠歌は、仏教の教えを和歌のリズムである「五・七・五・七・七」にして歌うもので、『念仏講』と呼ばれる、地域ごとに女性のみで組織された団体が、お葬式に来て歌ってくれるようです。

地域によっては『観音講』と呼ばれていることもありますが、活動内容などには違いはありません。

また、宗派によって歌詞の内容などにも差がありますが、鈴(れい)や鉦(かね)などを鳴らしながら、詠唱することも多いようです。

お赤飯

福井県の沿岸部など一部の地域では、長寿の方が無くなられた場合に限り、葬儀の際にお赤飯が振舞われることがあります。

故人が、天寿を全うしたことを祝うという意味から、葬儀の際に赤飯を出すようになったようです。

葬儀の席で赤飯が振舞われるのは、奇異に感じるかもしれませんが、古来より、赤は魔除けや厄払いの色とされていたため、そもそも、赤飯は葬儀の際に食べる食事でした。

「祝い」の席で、赤飯が食べられるようになったきっかけは、伝染病が流行した際に、魔除けと合わせ、快気祝いの際に食べ始めたことが由来であると考えられています。

火葬

福井県は雪深い地域ですが、東北のような前火葬が行われることはなく、県内全域で通夜→葬儀→出棺の流れで行われるようです。

勝山市では、骨上げの後すぐに、お骨を持ってお寺へ行って、お経をあげてもらう習慣があるようです。

また、古くから菩提寺とのつながりが深い福井県では、火葬の後に遺骨を分骨して、一方を菩提寺や本山に預ける事もあるようです。

男女で忌明けが違う

一般的に、四十九日の法要が行われる77日(49日目)を、忌明けとしている地域が多いのですが、福井県の嶺北地域では男性は77日(49日目)、女性は57日(35日目)と男女で差があるのも特徴です。

57日(いつなぬか)とは

人は亡くなると、7日ごとに冥界にいる如来・菩薩の審判を受けることになっています。

五七日はその第5番目にあたり、地蔵菩薩が姿を変えた閻魔大王から、全ての悪行についての裁きを受ける日となります。

閻魔大王の元にある閻魔帳には、生前の悪行善行のすべてが記録されています。
また、水晶でできた9つの鏡に生前の悪業が映し出され、地獄の責め苦を受けることになります。

ですが、その鏡には遺族による追善供養の姿も映し出されます。
その姿を見た死者は、遺族への感謝の想いで血の涙を流して成仏するとされていますが、この日に成仏できない場合には、六七日に次の王の元へ送られていきます。

多くの死者は、この五七日で次に生まれる場所が定まるとされ、中陰では初七日と同じくらい大切に考えられています。

まとめ

北陸地方は、全般的に浄土真宗の檀家が多い地区ですが、曹洞宗の總持寺である永平寺がある福井県では、禅宗の信徒も多いようです。
領南地方では禅宗が、領北地方では浄土真宗が広く信仰されているため、この二つの地方では広まっている宗派の違いにより、葬儀に関する習慣にも違いがみられるようですね。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです