【地域別】葬儀の特徴~愛媛県編~
ども まことじいさんです。
葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。
じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。
このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は愛媛県編です。
愛媛県は、瀬戸内海側は温暖少雨であり、宇和海側は台風や雨が多く、また内陸の高原部は比較的涼しいという、同じ県内ながら気候が異なるのが特徴です。
また、愛媛県には四国八十八箇所巡礼の内、25か所があり、真言宗の寺院が多いのも特徴です。
目次
葬式組
四国では、「班」や「講」などの近隣組織が通夜や葬儀を手伝う風習が見られますが、愛媛県でもお葬式の際には、『仕講組』や『葬式組』などと呼ばれる近隣組織が喪家を助けます。
こうした相互扶助組織は、10軒程度の家が1単位となっていて、『仕講組』で葬式があれば、食事の準備や受付など葬儀の手伝いを行います。
地域によっては、会社の仕事を休んででも、喪家の手伝いに行く事が当たり前とされている地域もあるようで、他の地域から来た人は、戸惑うことも少なくないようです。
「いっぱい飯」と「枕団子」
愛媛県の松山市では、納棺の際に、握った『いっぱい飯』と『枕団子』を頭陀袋に入れて、故人の首にかける習慣があります。
『いっぱい飯』は、故人の茶碗にてんこ盛りにもったご飯のことで、真ん中に一本お箸を立てて供えられ、『枕団子』は、『いっぱい飯』と一緒に枕飾りに供される団子です。
この『いっぱい飯』と『枕団子』を合わせて、「枕飯」とも呼ばれます。
枕飯を頭陀袋に入れるのは、冥土へ旅立つ故人のお弁当代わりとされ。空になった茶碗を遺族が出棺の際に割る「茶碗割り」も行われます。
葬列が棺の周りを回る
愛媛県では、親近者たちが棺を回して出棺した後、道路で止まり、今度は葬列がその周りをぐるぐる回るという、少し変わった『棺回し』が行われます。
出棺の際には、親族が棺を回す『棺回し』と呼ばれるしきたりは、全国各地で見られます。
棺を回すのは故人の方向感覚を失わせ、あの世から戻ってこられなくするためで、迷わず成仏してもらうためと言われています。
門火
松山市では「野辺送り」の名残である、藁を燃やして『門火』を焚き、故人愛用の茶碗を割って出棺する慣わしがあります。
『門火』の習慣は、新居浜市と今治市の一部地域にもありますが、燃やすのは藁でなく、強い浄化力を持つといわれる松の束を使用することが多いようです。
故人の妻は火葬場に行かない
愛媛県だけではなく、四国全域に見られるしきたりですが、故人の妻が火葬場へは赴かないという風習があります。
伴侶を亡くし気落ちしている妻が、これ以上つらい思いをしないようにとの思いから、生まれた習慣のようです。
しかし、現代では、きちんと死に向き合うことで、その後をしっかりと生きていけるという考えから、行われることは少なくなっているようです。
いろ
愛媛県の一部の地域では、遺族が火葬場に向かう時に額に『いろ』と呼ばれる白い三角布を着けます。
故人と同じ装束を身に着けることによって「途中までは故人と共に見送りますが、その先はお一人でいって下さい」という願いを込めて行われているようです。
このような風習は、全国各地でみられますが、葬祭儀礼の簡素化が進む現在では、見掛けることも少なくなっているようです。
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全国的には、通夜・葬儀のあと火葬される『後火葬』の地域が多いですが、愛媛県の四国中央市や上浮穴郡の一部では、通夜の後に火葬を行い、遺骨にて葬儀・告別式を行う『前火葬』の地域があるようです。
『前火葬』の場合、葬儀・告別式は遺骨を祭壇に安置して行う「骨葬」となるため、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。
お顔を見てからお別れしたい方は、事前に火葬のタイミングを、確認しておくことをお勧めします。
まとめ
愛媛県は、瀬戸内海に隔てられてはいるものの、隣接する中国地方の文化的影響を受けているようです。
死体を奪う妖怪『火車』から、故人を守るために棺に守り刀を置く風習や、出棺の際に、額に『天冠』と呼ばれる三角形の布を着ける風習などは、中国地方と共通しています。
なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。
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