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【地域別】葬儀の特徴~愛知県編~

2021年3月31日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。

今回は愛知県編です。

枕経

枕経とは、人が亡くなった時に、故人が迷わず旅立てるように授けてもらうお経で、僧侶が故人の枕元で行います。

一般的に、故人が仏教徒の場合は、遺体を安置した後すぐに菩提寺に枕経の依頼をします。

枕経を終えると、僧侶と共に「末期の水」で故人の口を潤し、遺族もお線香を手向けることが出来るようになります。

南知多地域では、僧侶が枕経をあげるまでは、生きているように扱う風習があるため、自宅に遺体を安置しても線香、灯明はあげません。

僧侶が帰ったのを見届けてから、遺族は始めてお線香をあげるようです。

涙汁(なみだじる)

愛知県の尾張地方、愛西市、津島市の一部では、葬儀の際に、近親者が簡素な精進料理を食べます。

これは『出立ちの膳』と呼ばれ、『涙汁(なみだじる)』という料理を食べます。

『涙汁』は、胡椒や唐辛子を入れた大変辛い吸い物で、地域によっては唐辛子を種まで一本まるまる入れることもあるようです。

この『涙汁』を食べる習慣には「大変な辛さから涙を流す」や「辛さによってお葬式の疲れをとる」という意味があるようです。

桑名などの一部の地域では『涙汁』を、かつおだしと胡椒で作る胡椒汁が出されることもあります。
そのため『涙汁』を「こしょう汁」と呼ぶこともあります。

淋し見舞い

愛知県では、通夜の際、近親者が香典と一緒に『淋し見舞い(さびしみまい)』を遺族に渡す風習があります

『淋し見舞い』には、饅頭や菓子、酒、缶詰などの食べ物や飲み物がよく選ばれます。

持ち寄られた『淋し見舞い』は、通夜振舞いで弔問客に振る舞われる他、通夜の後、遺族や近親者が故人の傍で過ごす際に皆で食べ、残った分は、葬儀の参列者などにも配り分けられます。

現金を包む場合は香典とは別に、表書きに薄墨で「御淋見舞」と書いて弔事用の封筒に入れて渡すことが多いようです。
包む金額の目安は、お菓子や果物を渡す場合と大体同じになるように、2,000~3,000円程度です。

出棺のしきたり

藁を燃やす

愛知県の南知多町地域では、出棺するときにわらを燃やす風習があります。

出棺の際に藁を外に敷いて、霊柩車はその上を通ってから火葬場に向かいますが、この藁を燃やすことで、「故人が迷わず成仏するように」との願いが込められた風習のようです。

他にも、柩の下にござを敷き、出棺の時にござを竹と木の棒でたたく地域もあるようです。

また、浄土への旅の途中で邪魔をしてくる餓鬼に対して、お菓子を渡して道を譲ってもらうために、柩にお菓子を入れるという風習の残る地域もあります。

宝冠

愛知県の瀬戸地方では、出棺の後に、喪主が白装束で火葬場へ行くしきたりが今も残る地域があります。

また、出棺の際、喪主だけでなく会葬者全員が『宝冠』と呼ばれる、三角の布を頭に巻く地域もあります。

仏教では『宝冠』と呼ばれるこの三角の布は、死に装束の一部とされ、本来は故人が身に着けるものです。

遺族が、亡くなった方と同じ格好をするのには、「旅立ちまでは共に見送る」という思いと、その先は「故人一人で旅立って欲しい」という願いが込められているようです。

焼香銭

愛知県の碧南市・高浜市では、通夜、葬儀・焼香時に焼香鉢近くに100円玉をお供えします。

この風習は、三途の川の渡し賃としての意味合いがあるようです。

北陸地方などにも同様の習慣がありますが、こちらは寺院の線香代として置くようですので、同じような習慣でも、地域によって意味合いに違いがあるようですね。

火葬

愛知県は、葬儀後に火葬を行う『後火葬』の地域と、葬儀前に火葬を済ませる『前火葬』の地域が入り混じっていることが特徴です。

山間部や海沿いの地域では、『前火葬』が多く、南知多町では、「骨葬」で通夜・告別式を行うことが多いようです。

『前火葬』の場合、葬儀・告別式は祭壇に遺骨を安置して行う「骨葬」となりますので、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。
この地域の葬儀に参列される方は、事前に火葬のタイミングを確認しておく必要があります。

二つの位牌

西三河地域では、葬儀の際に大小二つの白木の位牌を準備し、大きい方を遺体の胸元に入れて、一緒に火葬する習慣があります。

法要は小さい位牌で行い、忌み明けまで使われます。

白木の位牌を、葬儀の際に大小二つ作る習慣は各地にみられますが、一般的には大きい方を「内位牌」、小さい方を「野位牌」と呼びます。

「野位牌」は、かつて土葬が行われていた頃、墓標が出来るまで標として、お墓に置かれていました。

しかし今では、その名残を留めるのみとなっているようです。

じいさんの地元でも、葬儀の際に白木の位牌を二つ用意する習慣がありますが、一つは菩提寺に初盆まで納められ、初盆が終わるとお焚き上げされます。

通夜・葬儀は親族のみ

知多半島の半田市以南では、通夜・葬儀の席に着くのは遺族・親族のみで、一般の参列者は開式の少し前から集まり、読経中に焼香を行ってすぐに帰るようです。

まとめ

愛知県は、かつて尾張と三河の二つの国に分かれていたため、現在でも言葉や文化に、大きな違いがあります。
気質的にも、尾張は織田信長、三河は徳川家康のイメージに近いものがあるらしく、名古屋を中心とする尾張地方の人はせっかちで、岡崎を中心とする三河地方の人は、のんびりしたイメージがあるようです。

当然、葬儀の風習も境川を挟んで、東西で異なりますが、葬儀の風習が最も特徴的なのは、尾張地方の中でも、海に突き出している知多地域です。
大都市である名古屋市周辺では、古くからの習慣も消えつつありますが、知多地域では昔ながらの習慣が、今でも受け継がれているようですね。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。