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【地域別】葬儀の特徴~和歌山県編~

2021年4月7日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は和歌山県編です。

KanenoriによるPixabayからの画像

和歌山県は日本の近畿地方に位置し日本最大の半島である紀伊半島の西側に位置します。
古くから「木の国」と称されたほど山林は多く存在し、自然が豊かな地域です。

熊野古道や真言宗の総本山である高野山金剛峯寺など、世界遺産に恵まれた歴史ある和歌山県では、古来より葬祭儀礼に関する独特の風習が育まれてきました。

三隣亡は葬儀を避ける

全国的に、友引の日には葬儀を行わない傾向がありますが、和歌山県ではこの友引に加えて、暦注の『三隣亡(さんりんぼう)』の日にも、お葬式を避ける風習があります。

『三隣亡』は、その漢字の意味の通りで「三軒隣まで亡ぼす」といった意味があり、伝統的に建築業界では作業を辞めるべき日だと言い伝えられています。

『三隣亡』の日に、上棟式など建築の作業を行うと、大変な災いが起こるとされる凶日ですが、本質的に葬儀とは関係ありません。
ただ、その字面の印象から、建築と同様に、お葬式も避けるようになったのではないかといわれています。

実は、友引も元々は「共引」と書かれでいて、「勝負がつかない」「引き分けである」といった意味を持つ日で、特に縁起の悪い日ではありません。
それが、いつからか「友引」と書かれるようになったことから、「故人が周囲の人を、一緒に連れて行ってしまう。」と考えられるようになり、友引の日に葬儀を行うことを、避けるようになったようです。

扇子を壊して投げる

和歌山県の一部の地域では、葬儀の後に扇子を破った後、屋根の上まで投げ捨てるという風習があります。

和歌山県のお葬式に参列する女性の服装は、長襦袢と足袋以外は小物に至るまで、全て黒で統一されたものであるのが望ましいと考えられていて、扇子も黒色のものが選ばれます。

この扇子は、葬儀で使われたものということから、持ち続けていると不幸に見舞われると考えられ、葬儀の終わった後に、すぐに壊され捨てたり燃やされたりすることが多いようです。

また、出棺の時や葬儀の後などに、要を壊してから、家の屋根の上まで投げ捨てる、といった方法で処分することもあるようです。

出棺時のしきたり

茶碗割り

関西地方や西日本で広く行われている、『茶碗割り』と呼ばれる出棺時の儀式がありますが、この『茶碗割り』は和歌山県でも行われています。

この風習には、故人の魂の心残りになってしまうものを壊すことで、「この世への未練をきっぱり諦めてあの世に旅立ってほしい」という遺族の願いが込められています。

門火

和歌山県には、出棺の際に藁などを門前で燃やす、『門火』と呼ばれる風習があります。

この風習も、関西地方では広く行われていますが、門の前で門火を焚く理由は、送り火のような意味があると言われ、故人に「あなたの帰る場所が無くなったのだから、迷わず成仏して欲しい。」との遺族の思いから生まれた習慣のようです。

野辺送り

和歌山県の印南町周辺では、今でも『野辺送り』の儀式が積極的に行われています。

『野辺送り』とは、近親者・地域の人たちが、棺を担いでお墓まで運ぶ葬送の儀式で、土葬が行われていた頃は、各地でよく見られた習慣です。

かつての日本は土葬が多く、ご遺体に魔が取り憑かないよう、故人を守りながら、厳かに送っていく儀式でもありました。

『野辺送り』では、参列者のそれぞれに役割が与えられます。
一般的に「位牌」「飯」「水桶」「香炉」「紙華」「天蓋」の6種を持つ人が、最も重要な六役とされ、原則として故人の近親者が務めます。

還骨勤行(かんこつごんぎょう)

和歌山県の一部では、お葬式が終わった後、遺骨を家に迎えいれるための『還骨勤行』を営みます。

環骨勤行』は、火葬場で荼毘(だび)に付した骨を骨壷に納めて、自宅や葬儀を行っている会場に故人をお迎えするための儀礼です。

還骨勤行の流れは、一般的に以下のようになります。

  1. 火葬場に行かなかった、親族以外の参列者たちが、手洗い用の桶と柄杓と水、盛り塩を用意します。
  2. 火葬場から戻ってきた人たちは、両手に水をかけてもらい、肩や腕、足元などに塩をかけてもらってから家に入ります。
  3. 後飾り祭壇を設置して、遺骨と遺影、位牌を安置します。
  4. 僧侶による読経が行われ、親族が焼香します。

和歌山県には、「講」と呼ばれる近隣住民の相互扶助組織が残っており、『還骨勤行』の際には、この「講」に属する年配の女性たちが集まって、仏教の教えを和歌にした『御詠歌』を詠う地域があります。

『御詠歌』は、流派によって遺族や僧侶が、鈴(れい)や鉦鼓(しょうこ)を鳴らしながら唱和することもあるようです。

葬儀の際に、『御詠歌』を詠う習慣は、福井県など他の地域でもみられます。

まとめ

近畿地方に属する和歌山県では、葬祭儀礼においても、京都や大阪などと同様の習慣がありますが、『三隣亡』の日には、葬儀を行うのを避けるなど、独自の風習もあるようです。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もし、この記事が誰かの役に立てば幸いです。