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【地域別】葬儀の特徴~栃木県編~

2021年3月12日

ども まことじいさんです。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。

通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は栃木県編です。

飛脚

栃木県大田原市周辺では近所で亡くなった方が出た場合、菩提寺の住職に『飛脚』と呼ばれる人が伝えに行く習慣があります。

電話などの通信手段が普及した現在では、徐々に風習も薄れてはきましたが、まだ飛脚がいる地域も多く残っています。

新生活

栃木県足利市周辺では一般の受付とは別に『新生活』と書かれた受付を見掛けることがあります。

これは戦後、冠婚葬祭における金銭的な負担を軽減するために広まった「新生活運動」の名残で、この運動に賛同する参列者は香典袋にお返し辞退のラベルを貼り『新生活』の受付に進みます。

他の方は「一般」「会社関係」などの受付を利用します。

全国的には廃れてしまった習慣ですが、栃木県や群馬県の一部では残っているようです。

組内

かつて栃木県には「組内」と言われる集まりがあり、葬儀の際には遺族に代わって組内が取り仕切るという習慣がありました。

ただ最近では、自宅や寺院で葬儀を行うことが少なくなったため、組内が葬儀を取り仕切ることはあまりなく、葬儀場のや斎場の受付の手伝いや会計の補助などを行っているようです。

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七日ざらし

栃木県では、故人の愛用していた羽織などの衣服を家の裏庭や縁側に北向きに干して、毎日水を掛け続けて常に濡れた状態で七日間さらしておく『七日ざらし』という習慣があります。

これは神道の影響から穢れを払う意味があると言われており、このような風習は各地に残っています。

また、故人が愛用していた着物には故人の魂が少なからず乗り移っていて、故人の魂がそれを求めてしまうと、あの世にちゃんと行けないという考えからという説や、あの世に行く際に魂は火の山を通るため、そこで故人が暑い思いをしないように着物を濡らしておくという説もあるようです。

枕返し

一般的にはご遺体を安置する際、遺体を安置するときは釈尊入滅の際の姿勢にならい、頭を北にして寝かせますすが、これを『枕返し』と言います。

しかし、栃木県の足利市周辺では、ご遺体を安置する際に一旦南向きに寝かせたのち、北向きに直すという風習があります。

花籠振り

栃木県では、出棺の際に色紙や紙で作った紙幣を籠に入れ、竹竿につけて振りまく風習があり、これを『花籠振り』と呼びます。

色紙が舞う様子が花吹雪のように見えるということから、『花籠振り』と呼ばれるようになったようで、故人様の旅立ちのはなむけという意味合いがあるようです。

仮門

栃木県の農村部では、出棺の際に玄関先に竹を編んで作った門を建て、その門をくぐって出棺する『仮門』という風習が残っている地域があります。

出棺後はすぐに仮門を壊しますが、これは仮門にはこの世とあの世の境という重要な意味も含まれており、仮門をくぐらせることで、旅立った故人が迷って戻らないように、との願いが込められています。

床とり

栃木県では、土葬が主流だった頃は墓地に穴を掘って柩を埋める作業をする人のことを、『床取り』(陸尺、六尺、四天王など)と呼び、葬儀の手伝いの中の中心として役づけられていました。

現在ではほとんどが火葬となっているため柩を運ぶことは亡くなりましたが、納骨の際にカロート(納骨スペース)の蓋を開けたり墓地周辺を清掃したりすることが役割となっているところが多いようです。

床取りは死(穢れ)に一番近いところの役割ということで、地域によっては豆腐や清酒でお清めを行うようです。

メカイ転がし

出棺後には棺を安置していた場所に「メカイ」という籠やザルを置き、それを竹箒などで外に掃き出す『メカイ転がし』が行われます。

これは目に見えない邪気を家の中から追い払う意味があるそうで、お隣の茨城県でも、同様の『ざる転がし』が行われます。

百万遍

地域の隣組などの集まりが、親族と一緒に一つの大きく長い数珠を手に持ち、念仏を唱えながら数珠を順送りにする『百万遍』の儀式を行う風習が、宇都宮をはじめとする栃木県内で広く見られています。

皆で念仏を唱えることで、功徳が何倍にもなると考えられており、あの世へ旅立つ故人へのはなむけとして行われています。

長く伝えられてきた『百万遍』の儀式ですが、寂しいことに近年では葬祭の簡略化に伴い年々少なくなっており、都市部などでは省略されることもあります。

水まわし

栃木県足柄市周辺では、火葬場で故人が炉に入る際に、旅立つ故人が熱さで喉が乾かないようにと、遺族がコップの水を交代で炉の前に捧げる『水まわし』という風習があります。

清めの鰹節

栃木の日光では、お葬式に出た参列者が帰宅して家に入るとき、お清めの塩と一緒に鰹節をかけるという、変わった風習が残っています。

そもそも、仏教では死を穢れとして捉えることはなく、「お清め」の習慣は神道から来ているものです。

実は江戸時代にはまだ「清め塩」を行っていた人は稀で、「お清め」の効果は酒食にあると考えられていました。
お清めに鰹節を用いるのは、こうした酒食の力を借りて穢れを排除しようとする意味があるものと考えられます。
このような習慣は、お隣の茨城県でもみられます。

葬儀当日に納骨

一般的に納骨は四十九日の法要の後に行われることが多いですが、栃木県では葬儀当日に納骨することが多いようです。

これは、土葬が主流だった頃の名残とされ、近隣の県でも見られる風習です。
栃木県のごく一部ですが今でも土葬を行っている地域が残っています。

納骨の際にぼたもち

栃木県栃木市周辺では、納骨の際にわらじの間に「ぼたもち」を挟んだものを杖の先に吊るして、お墓に立てる風習があります。
これは、亡くなった方が49日のあの世への旅路で、滑って転ぶことが無いようにとの願いが込められた風習のようです。

墓おこし

栃木県北部の那須塩原市や那須町などでは、納骨を済ませたら初七日までの『墓おこし』と呼ばれる墓参りを、毎朝行なっているようです

まとめ

栃木県の葬儀は、基本的に関東近郊の葬祭の流れに沿って行われますが、地域ごとの古くからの風習も残っています。

また、栃木県を含む北関東では神道の影響を強く受けている地域もあり、そういった地域では葬儀も神式で行われることも多いようです。

都市化が進む栃木県ですが、農村地域では古くからの相互扶助組織が今でも機能していたり、東北地方に多く見られる前火葬や土葬の習慣が行わていたりします。

もし、栃木県の葬儀に参列される際は、そのあたりを確認しておくことをお勧めします。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。