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【地域別】葬儀の特徴~群馬県編~

2021年3月13日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は群馬県編です。

忌中の表現

一般的には、家族に不幸があったことを告知する際に「忌中札」を貼ることが多いですが、群馬県では地域によって忌中のしるしとして、門の前に位牌を先につけた竹竿を立てたり、立ち臼の絵を描いた半紙を横にして玄関に貼るなどの習慣があります。

ジャンボン

かつて土葬が行われていた頃、柩を墓地まで運ぶ野辺の送りの際は、僧侶たちがシンバルのような鼓鈸(くはつ)と呼ばれる鳴り物などを派手に鳴らしながら、花籠を揺らして小銭を撒いて歩いていきました。

この野辺の送りの様子を見た子供たちによって葬儀の事を『ジャンボン』と呼ぶ習慣が生まれたようです。

今でも群馬県や栃木県の一部では、葬儀の事を『ジャンボン』と呼びます。

隣組・隣保班

群馬県では現在でも農村部などを中心に、隣組や隣保班などと呼ばれる地域のつながりが色濃く残っています。

かつて自宅や寺院で葬儀を行うことが多かった時代には、この『隣組・隣保班』が中心となって会場の案内や受付、飲食の提供などの手伝いを行ないました。

葬儀を自宅で行うことが少なくなった現在でも、葬儀場での受付などは隣組などが担っていることも多いようです。

新生活

群馬県では葬儀場の受付が『一般』『新生活』の二つ用意されていることが多いです。

『新生活』とは、葬儀の際に参列者側が香典として包む金額を少なくすることで、ご遺族側が香典返しをしなくてもよいとする慣習を指します。

この慣習はもともと、終戦直後の時期に群馬県で行われていた新生活運動が起源で、参列者側も香典の金額を1000円から3000円程度にすることで、ご遺族も香典返しせずに済むというやり方です。

この運動に賛同する方は『新生活』の受付に、それ以外の方は『一般』の受付に進みます。

戦争が終わってから長い年月が経った現在でも、群馬県や埼玉県などではこのようにして、葬儀の際の経済的な負担を軽くするための慣習が残っています。

新生活の香典の書き方

表書きは宗教・宗派に応じて「御霊前」や「御仏前」などと普通に書けばよいですが、表書きの左端に、香典返しを辞退する旨を記します。

群馬県では『新生活』専用の香典袋も売られており、「新生活運動の趣旨に沿って香典返しを辞退します」というように、新生活運動の趣旨が動機であることが明記されています。

新生活の香典の金額相場

葬儀の参列者と遺族のどちらにとっても極力経済的な負担を軽くする趣旨なので、『新生活』の場合に包む香典の金額は比較的少なめで、1000円から3000円を包む場合が多く見られます。

5000円以上の香典を『新生活』の受付に出すと困惑されることも多いので、故人との付き合いが深いなどの理由から5000円以上の香典を出す場合は、『一般』の受付に出しておく方が無難です。

高崎市は、市をあげて新生活運動の啓蒙に努めているので、香典は一律1000円としていることも多く、葬儀での会葬御礼も御礼状のみの事が多いようです。

枕団子3個

家族が亡くなった場合、まずは菩提寺に連絡して枕経をお願いすると同時に、安置した遺体の枕元に枕飾りを行いますが、古くから前橋市の勢多地域では、枕団子の数が3個、お皿も米粉から作る習慣があります。

枕飯は高盛りにして三角形に折られた紙をあてます。

頭陀袋に桑の枝を入れる

納棺の際、故人が死装束として身につける頭陀袋(ずだぶくろ)に、六文銭を印刷した紙を入れることは、一般的に行われていますが、群馬県の一部の地域では、この頭陀袋の中に桑の木の枝を入れるという少し変わった風習があります。

三叉路での儀式

日本では古くから三本の道が交差する場所は、生と死の境目に見立てられていました。

群馬県の一部では中央が窪んだ水飲み団子と呼ばれるものがあり、団子作りで使った木や竹などを三叉路(三本辻)で燃やし灰にして、その場に捨て置くという独特の風習があります。

撒き銭

群馬県の一部の地域では、出棺の際に遺族の方から参列者に、半紙に包んだお金を撒く『撒き銭』という風習があります。
この風習は、故人が長寿を全うして亡くなった際に行われ、この『撒き銭』を拾うと故人のように長生きができると言われています。

また、故人の残した財産を葬儀に参列してくれた方に分けることにより、故人の功徳を積むことができるといった意味合いもあり、故人の供養につながると考えられています。

長寿銭

『撒き銭』に似た風習として群馬県を含む北関東の一部では故人が八十八歳以上の場合など長寿を全うした場合、会葬者全員に故人名で1円玉を除く硬貨や五円玉に水引をつけてお守り風にしたものものが入った祝儀袋を配る風習があります。

天寿を全うした故人に肖り長寿のお守りとして人にあげたり、中には長寿銭をためて寺社のお賽銭箱に奉納したりする人もいます。

通夜振る舞い

群馬県内の多くの地域では、通夜振る舞いや精進料理は本来、親族と隣組の人たちにしか振る舞われませんでした。
現在では、参列者には通夜振る舞いの代わりに、500~800円程度のお酒やおつまみ、お茶やコーヒーなどを渡すこともあるようです。

でがの飯

群馬県の農村の一部の地域では、告別式の後にお椀についだ一膳飯を1本の箸を使って手に取り食べるという風習があります。
『でがの飯』または『でわの飯』と呼ばれるもので、地域によっては実際には食べず、食べる真似をするだけのところもあります。

葬儀に参列した者全員で、故人を見送るという意味が込められていると言われています。

火葬

群馬県では関東の他県と同様に、ほとんどの地域で葬儀・告別式の後に火葬が行われていますが、群馬県内でも長野県に近い地域では『骨葬』が行われています。

『骨葬』は東北地方に多く見られる葬儀の形態で、葬儀の前に遺体を火葬を済ませてしまい、祭壇には骨壺や骨箱が安置されています。

『前火葬』の場合、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。

最後にお顔を見てからお別れしたい場合は、事前に火葬のタイミングを確認しておく必要があります。

骨壺

関東地方では収骨の際、全ての遺骨を骨壺に納める、「全量収骨」が主流ですが、近年の日本人の体形の変化により、東京をはじめとする関東地方では、収骨時はほとんどの地域で大きめの8寸の骨壷を使用します。

しかし、群馬県のほとんどの地域では今でも7寸の骨壺を使用しているようです。

位牌分け

一般的な葬儀では戒名を刻んだ位牌を一つ安置しますが、群馬県では残された子供の人数分の位牌を作成し、葬儀が終わった後それぞれの家に持ち帰り、それぞれ仏壇に安置する『位牌分け』と呼ばれる風習があります。

この『位牌分け』は一般的ではありませんが仏教の教えに則ったものです。

仏教の世界では位牌とは故人の魂が宿るものではなく、故人が成仏して生まれ変わった世界と私たちの世界をつなぐものとして考えられています。

このため、複数の位牌を作ることには何ら問題はないようです。

『位牌分け』を行うことで、法要やお墓参りの時だけでなく、毎日故人の位牌に手を合わせることが出来るので、故人にとっても、残された人にとっても非常に良いことかも知れませんね。

まとめ

群馬県の葬儀の流れは、基本的に関東地方に共通の習慣に則って行われますが、特徴的なのは『新生活』と『位牌分け』でしょうか。

現在では、「香典辞退」の葬儀も増えてきていますが、『新生活』の運動は古くて新しい習慣と言えるかも知れませんね。

最近では、仏壇を見たことがない、或いは自分の家の宗派を知らない子供が増えているようですが、『位牌分け』の習慣がある群馬県では、自宅に仏壇があることが多いので、自然と子供たちもご先祖様の存在に接する機会が多くなることでしょう。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。