【地域別】葬儀の特徴~島根県編~
ども まことじいさんです。
葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。
じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。
このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は島根県編です。
島根県には出雲大社(いずもおおやしろ)があり、御祭神である大国主大神様は、広く『大黒様』として慕われ、日本全国多くの地域でおまつりされています。
島根県は、八百万の神々の集う地とされているため、葬儀の習慣も他の地域とは違いがみられます。
また、島根県は、出雲地方・石見地方・隠岐地方の3つの地域に区分されることが多く、浄土真宗の熱心な信徒が多い石見地域では、葬儀でも経本を見ずに読経できる人が多いようです。
目次
組
他の地域にも見られる風習ですが、島根県の一部地域では、「組」と呼ばれる相互扶助組織が残っています。
他の地域では「隣組」や「講」と呼ばれることもあるこの組織は、組内で不幸が起きた際、近隣の住民が葬儀の手伝いを行います。
地域によっては、仕事を休んでまで、組内の葬儀の手伝いを優先することもあるようで、他の地域から来た人は困惑することも多いようです。
葬儀を出すことを「広島に行く」という
島根県では葬儀を出すことを「広島にお茶(あるいは綿)を買いに行く」という言い方をする場合があります。
広島とは巌島の弥山を指しており、この山は霊の集まる霊場とされています。
島根県の人達にとって、神様が集まる場所が出雲大社であり、亡くなった人の霊が集まる場所は広島県の宮島の弥山であると考えられています。
竹を立てて忌中のしるしにする。
全国的に、不幸があった家の入口に「忌中」と書いた張り紙をする風習は一般的ですが、島根県の松江市など一部地域では、忌中のしるしとして門の両側に2本の竹を立てます。
人が亡くなるということは、非日常であると同時に、魔を呼び込んでしまうと考えられているため、この門松に似た形で竹を立てることで、門を浄めて魔除けをする意味があると言われています。
大安は葬儀をしない
全国的に、友引の日に葬儀を行うことを避ける傾向がありますが、島根県では、大安の日に葬儀を出すことを避け、出雲大社を穢さないようにしているようです。
島根県には神様が集まる場所として知られる出雲大社があり、人々は昔から出雲大社を中心に生活しているため、葬儀の時も出雲大社のことを第一に考えるようです。
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島根県西部の石見地方では、斎場ではなく自宅葬を行う場合、『夜伽』と呼ばれる通夜の開始時間が、特に決まっていないことがあります。
弔問客は、各々が適当な時間に喪家へ伺い、焼香したり、故人を偲んで通夜ぶるまいを囲んだりして、時には夜を徹して行われることも多いようです。
そもそも『夜伽』とは、夜を徹して一緒にいるという意味の言葉で、一晩中故人に付き添うという気持ちの表れであると考えられますので、「夜伽」という言葉の意味と合致しているわけです。
しかし逆に、出雲地域などでは、通夜は家族のみで執り行う「家族通夜」とし、一般弔問客の参列は控えるという慣習も見られます。
お葬式に赤飯を配る
島根県の沿岸部では、故人が大往生だった場合、葬儀に赤飯が配られることがあります。
一般的におめでたい食事の印象がある赤飯ですが、元々は葬儀の際などに厄払いのために食べるものでした。
古来、赤という色には邪気を払い厄を除ける力があると考えられていたのです。
現在では、故人が長寿を全うしたことを祝うという意味で、赤飯を振舞うことが多いようです。
「善の綱」「縁の綱」を引く
島根県の一部では、出棺の際、棺に白いさらしの布を結びつけ、その端を近親者の女性が持って引っ張る「善の綱」「縁の綱」という別れの儀式があります。
『善の網』には、故人の魂や亡骸を「善いところへ導いていく」という意味があります。
遺族の中でも血縁の近い人の方が、より棺に近い所を持って引っ張ります。
一方、棺を引っ張る時に使う白いさらしの布を、わざと切れやすい物にするのが、『縁の綱』と呼ばれる風習です。
見た目は『善の綱』と似ていますが、全く違った意味をもつ習慣で、切れやすい布を使うことで、故人との「縁を切る」という目的で行われる儀式です。
かつて土葬が広く行われていた頃は、お墓までの道のりを、人が担いで運びましたが、今では火葬場までの運搬は、霊柩車を利用することが一般的となっているため、現在では、『善の綱』『縁の綱』ともに、霊柩車に棺を運ぶ際に行われることが多いようです。
火葬
島根県には、「前火葬」と「後火葬」の地域が混在し、松江市や出雲市などでは、午前中に火葬を行い、午後から葬儀を行うのが一般的です。
松江市では「前火葬」が60%、「後火葬」が40%となっています。浜田市は「前火葬」主流でしたが、最近では「後火葬」が増えてきています。
反対に、益田市や鹿足郡では、ほとんどの場合「後火葬」です。
「前火葬」が行われる場合、葬儀は遺骨を安置して行う「骨葬」となりますので、最後のお別れに顔を見ることが出来ません。
もし、お顔を拝んでからお別れしたい場合は、事前に火葬のタイミングを確認しておくことをお勧めします。
当日納骨
一般的に、お墓への納骨は、四十九日法要の後に行われることが多いですが、出雲市周辺では、葬儀を行ったその日の内に納骨まで済ます「当日納骨」が多いようです。
そのため、納骨までの期間がとても短いだけでなく、葬儀の日に行う儀式などの量が、とても多いことも特徴的です。
骨箱
一般的に、収骨の際に遺骨を骨壺に納め、さらに骨箱に入れて自宅に持ち帰り、納骨の際は骨壺のままお墓に納めることが多いですが、島根県には、骨壺に入れずに納骨する地域があるようです。
収骨の際に、一度骨壺に入れますが、、納骨時には中の遺骨を墓内に直接入れる形をとるようで、お墓に骨壺を入れることは少ないようです。
まとめ
島根県には、出雲大社のお膝元である出雲市があるため、地域によって主流となる宗教に違いが見られることが特徴です。
香典の表書きは、神葬の場合、「玉串料」が最適ですが、仏式の場合は「御霊前」、「御香典」とすることが一般的です。
ただし、島根県西部地域などで信者が多い浄土真宗の場合は、信者が亡くなった場合、阿弥陀如来の力で、すぐに生まれ変わるという考えから、表書きは「御仏前」とされ、「ご霊前」はマナー違反とされていますので注意が必要です。
なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。
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