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【地域別】葬儀の特徴~山口県編~

2021年4月10日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は山口県編です。

山口県は、瀬戸内海側・日本海側・中国山地側に触れる地域として、3つの地域区分がされています。
海側と山側の地域では、文化も風習も異なるため、葬儀に関する習慣にも様々な違いがあるようです。

山口県には『講』や『死講』と呼ばれる相互扶助組織が存在します。

近くで不幸があると、近隣の『講』や『死講』の人達が集まり、食事の準備から、受付や斎場の準備、片付けまで、葬儀全般のことをを手伝ってくれるようです。

こういった習慣は、『隣組』や『葬式組』などと呼ばれ、各地で見られましたが、最近では都市部を中心に少なくなってきています。

供え物

一般的に、通夜の受付では香典を渡すだけですが、山口県では、通夜の際に香典と合わせて、果物やお菓子、地域によってはお米や野菜などの農作物を『供え物』として渡す地域が多いようです。

受け取った『供え物』は、遺族や親族が故人の棺を囲って食べながら、故人との思い出話をしたり、翌日の葬儀の打ち合わせをしながら食べたりするようです。

「遺族や親族が、ゆっくり故人との思い出を語れるように」との参列者の思いが込められた習慣です。

通夜にお菓子やお酒などを渡す風習は、『通夜見舞い』『夜伽見舞い』などと呼ばれ、全国各地にに存在します。

焼香銭

山口県の萩市や長門市周辺では、焼香の際に小銭を供える『焼香銭』というしきたりがあります。

焼香台の香炉の横に用意されたお盆の上などに、100円や500円を供えるのが一般的です。
集められた『焼香銭』は、お寺にお香代として納められることが多いようです。

開蓮忌供養(初度法事)

山口県の萩地域では『開蓮忌供養(初度法事)』という葬儀直後に行う法事があり、儀式終了後『初度の膳』と呼ばれる食事を振舞い、引き出物をお渡しします。

『初度の膳』とは、親族などを招いて精進料理を振る舞うもので、近隣の人が前日に案内状を手配りするのが正式な習わしとされています。

野辺送り

山口県の一部では、門から霊柩車までのわずかな距離でも、葬列を組んで移動する事があります。

かつて土葬が多く行われていた頃は、棺をお墓まで担いで葬列を組んで運ぶ『野辺送り』と呼ばれる習慣が、日本各地で行われていましたが、火葬が主流となった今では、見掛けることも、ほとんど無くなっています。

しかし、山口県では今でも『野辺送り』の名残として、葬儀の際に葬列を組むようです。

山口地区の真言宗の出棺の際は、『四旗』や『大傘』・『天蓋』・『後灯』等13の役割があり、鐃鈸(にょうはち)や引磬(いんきん)と呼ばれる仏具の音が鳴る中、お寺様を合わせると21人のお役目が葬列を先導し、その後を親族や参列者が続きます。

また、長門地区では、白いさらしを頭巾のように被った女性の親族が先導し、棺を抱える男性は肩にさらし布を掛けます。

前火葬

山口県は基本的にご葬儀・告別式の後に火葬を行う『後火葬』の地域ですが、萩市・美祢市の一部では、通夜の翌朝、葬儀の前に火葬をする『前火葬』の地域が存在します。

『前火葬』の場合、葬儀は遺骨を祭壇に安置して行う『骨葬』となりますので、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。
お顔を見てからお別れしたい方は、事前に火葬のタイミングを確認しておく事をお勧めします。

立ち飯(たちは)

山口県では、いわゆる「精進落とし」のことを『立飯』と呼びます。

『立飯』とは、故人と一緒に食べる最後の食事のことを言い、山口県では、親族が出棺前に故人の棺を囲んで、ご飯のおこげや大豆などを含んだ精進料理を食べるようです。

『立ち飯』ののちに出棺となり、お茶碗が割られて、送り火のようにわらを燃やして故人を見送ります。

むむこう

長門市など山口県の一部地域では、『むむこう』と呼ばれる引き出物を、親族や近隣の方々に配る慣習があります。

『むむこう』には、乾物やお酒などをセットにして入れることが多いようです。

まとめ

山口県では、日本海側、瀬戸内海側、山岳地域で、それぞれ違った葬儀の風習がみられます。
近年では、葬祭儀礼の簡素化が進み、昔ながらの風習も、行われることが少なくなっていますが、山口県では今でも古くからの習慣が、脈々と受け継がれているようです。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。