【地域別】葬儀の特徴 埼玉県編~
ども まことじいさんです。
葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。
じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。
このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は埼玉県編です。
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枕飾り
一般的に身内が亡くなった場合、故人を自宅に安置し枕元に枕飾りをして、僧侶から枕経を授けてもらいます。
秩父地方では、枕飾りに枕団子と一膳飯をお供えすることが多いのですが、この枕団子は一般的な上新粉で作ったものではなく、うどん粉を使って作るようです。
また、一膳飯のご飯を炊く際には使い古した鍋を使用し、枕団子をゆでた煮汁を利用して屋外で炊くのがしきたりとなっています。
なお、使った鍋は一週間使ってはいけないそうです。
納棺
秩父地域では、納棺の際に立ち会った方々に縄が配られます。
参列した方々はその縄を腰に巻き、縦結びに結びます。
女性の場合はたすき掛けにする地域もあります。
また、納棺時は親しい方々が酒を口に含み、故人に吹きかける風習があります。
かつて土葬が行われていた頃に、殺菌・消臭のために行っていた習慣の名残と思われます。
火葬
埼玉県は都市化が進んでいるため、最近では火葬場が不足する傾向にあり、友引き明けの午前中は火葬場に受け入れてもらえないことが多いようです。
そのため、町内に火葬場が無い上に他の広域斎場にも属していない寄居町では、午後の火葬になることが多く、ほとんどの葬儀が後火葬で行われます。
また、本膳も火葬中に行う火中本膳を嫌うお寺さんが多いため、後火葬をして帰って来てから本膳(会食)を行うので、終わる時間が夕方以後になります。
さらに、寄居町の一部の古い地区では念仏講を行う所もあり、その後に清め(食事)等を行うのでかなり時間がかかることが多いようです。
その一方で、秩父地域や川越市周辺では、通夜の翌朝(葬儀・告別式の前)に出棺と火葬を行う「前火葬」が多いようです。
受付
新生活
埼玉県の北部地域周辺では、栃木県や群馬県などの北関東地域でよくみられる『新生活』スタイルの葬儀が行われることがあるので、注意する必要があります。
『新生活』スタイルの葬儀では受付が『一般』と『新生活』の二つ用意されているのが特徴で、新生活運動に賛同される方は『新生活』の受付に進み、会社関係や生前の故人とつながりの深かった方で、5000円以上の香典を出される方は『一般』の受付に進みます。
『新生活』とは、参列者の香典と遺族の香典返しの負担を減らすことを目的とした運動であるため、香典は1000〜3000円が目安となります。
『新生活』では一般的な香典返しは無く、会葬礼状のみか、数百円程度の返礼品を香典と交換で受け取ります。
『ともに立ちますか?』
埼玉の秩父市では、お葬式の受付で「ともに立ちますか?」と聞かれることがあります。これは「精進落としまで同席しますか?」の意で、「ともに立ちます」「いいえ、お焼香だけで失礼します」のような形で返事をします。
親族や故人と親しかった場合は、ともに立つのが一般的です。
『色代100円』
秩父市の周辺地域では、受付に 『色代100円』 と書かれた張り紙が出ていることがあります。
色代とは、いろ=経帷子のことで、それをお寺から借りる代金というのが本来の意味ですが、現在では精進落としの費用として香典と一緒に渡すもので、先述の「ともに立つ」方が100円を支払います。
お香典はその場で開封
秩父地域では受付でお香典をいただくと、すぐに目の前で開封し金額と表記が合っているかを確かめます。
他の地域から参列された方などは驚くかもしれませんが、昔からの風習の一つですので、秩父地域の葬儀に参列される方は、頭に入れておくことをお勧めします。
金剛杖
埼玉県の北部では、参列者が死装束の一部を身に付けて、故人を送る風習があります。『金剛杖』が参列者に配られますので、それを手に参列することになります。
また、男性の参列者『かんむり』と呼ばれる三角形の布を額に付け、女性は『とも白髪』と『いろ』を身に付けます。
故人と同じ白装束をまとうことで、「三途の川までは故人を見送りたいという」思いが込められた風習です。
故人は亡くなった後、三途の川へとひとりで向かい、仏様のいる浄土へと四十九日間の旅に出ます。
この間、一週間ごとに裁判があり、三十五日目に閻魔様に会う際の正式な姿が、この天冠をまとった白装束の姿と言われています。
お見舞い
秩父地域などでは通夜の際に、香典とは別に紅白の水引が掛かっている『お見舞い』を出すことがあります
「入院中はお見舞いに行けず、申し訳ありません」という気持ちを表したもので、遅くなったけれどお見舞いをどうぞとの意味のようです。
門送り(カドオクリ)
埼玉県の一部地域では、自宅から故人を出棺する際に近所の方が見送り、その際に受付や返礼品などを用意するなど独特な風習があります。
返礼品には、故人を思い出していただくために、季節の花の種を用いることが多いようです。
長寿銭
埼玉県の一部地域では、故人が八十八歳以上の場合など長寿を全うした場合、会葬者全員に故人名で、1円玉を除く硬貨や五円玉に水引をつけてお守り風にしたものものが入った祝儀袋を配る『長寿銭』と呼ばれる風習があります。
『長寿銭』は北関東など各地で見られる風習で、天寿を全うした故人に肖り長寿のお守りとして人にあげたり、中には長寿銭をためて寺社のお賽銭箱に奉納したりする人もいます。
茶碗割
埼玉県の郡部や農村部での葬儀では、『茶碗割り』という昔からのしきたりが今日も続いています。
出棺時に生前故人が使用していた茶碗を割るというもので、関西地方を中心に各地で行われてきた習慣です。
生前に使用していた食器を割ることで、現世への未練を断ち切り、迷わず成仏してくださいとの思いから生まれたとされる風習ですが、茶碗を割る際に「ガチャン」と大きな音が鳴るため、現在では見掛けることも少なくなっています。
寺送り
秩父地域では、葬儀がすべて終了すると故人を菩提寺へお送りする『寺送り』という行事があります。
葬儀が終わって住職がお寺へ到着するころを見計らって、数名の親族でお寺へ伺い、本堂と位牌堂での読経に参加します。
この読経には、故人の逝去を知らせるとともに、ご本尊様とお寺に眠っている方々へご挨拶する意味がありるようです。
お念仏
秩父地域では、お葬式・精進落しの後、最後に『お念仏』というものがあります。
『お念仏』は近隣住民の相互扶助組織である『隣組』の方々が中心となって執り行います。
鐘をたたき『十三仏』や『南無阿弥陀仏』などの念仏をそれぞれ7回または13回行うというものです。
まとめ
埼玉県は全体としては年々都市化が進み、古くからの慣習も消えつつありますが、秩父地域や川越などの北部地域では、そういった慣習が今でも受け継がれているようです。
全国的に葬祭儀礼の簡素化が進む現在、時代の流れとともに、葬儀などにおける習慣も変わっていくのは仕方のないことかもしれませんが、少し寂しい気がしますね。
なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。
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