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【地域別】葬儀の特徴~山形県編~

2021年3月7日

ども まことじいさんです。

葬儀の習慣なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は山形県編です。

告げ人

山形県では男性二人が一組になって訃報を知らせて回る風習があります。
このような習慣は東北地方全般にみられますが、山形県では『告げ人』と呼びます。

これは、まだ電話などの通信手段が未発達だった頃に、通夜葬儀の日時や場所を、間違いなく伝えるために行われたのが始まりとされ、『忌を避ける』ために男性二人で回るようになったそうです。

現在では通信手段が発達したため、あまり見られなくなりましたが、一部の地域では菩提寺への連絡の際は男性二人で行くこともあるようです。

通夜

山形県では、通夜には遺族と親族のみが参列することが多く、近所の方などの一般参列はあまり行われません。

山形市では、通夜も友引を避ける傾向があります。

鶴岡市のお葬式では、火葬が先におこなわれたあと、お通夜と葬儀がおこなわれることが一般的です。

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火葬

山形県では、東北地方の他県と同様に葬儀の前に火葬を行う『前火葬』が主流ですが、酒田市周辺では一般的な葬儀と同じように通夜→葬儀→出棺→火葬の順番で行われます。

また、収骨の際に使用するのは、骨壺ではなく骨箱を使用することが多いようです。

山形県全般では通夜の翌日に火葬→葬儀の流れが主流ですが、鶴岡市周辺では、通夜も火葬の後に行われます。

米沢地方では、火葬の際に故人にわざと古くいたんだ着物を着せるという風習があります。
これは、三途の川を渡る際に、ほかの人に衣服を取られないようにとの願いに基づいた風習のようです。

納棺

東北地方では葬儀の前に火葬をする習慣がありますので、葬儀前日の通夜は大切な儀式となります。

中でも納棺の儀は重要で、映画『おくりびと』の舞台も山形県酒田市です。

南陽市では『入棺』(にっかん)と呼ばれ、近親者が故人の身体を拭き清める『湯灌の儀』を行ったのちに、遺族が腰に荒縄を巻き旅支度の着付けを行い棺に納めます。

また最上地方では、ご遺体をかこむように高い屏風を立てて、男性が裸にふんどしを締め、縄たすきして納棺します。
納棺後には大根おろしを洗面器等に入れて、風呂場に置いておいて、それで手を洗い、お清めとして塩、スルメ、酒を食べますが、一部地域では梅干しを小さくして食べる習慣もあるようです。

出棺

山形県では全般的に、自宅から出棺する場合は縁側など玄関以外の出入り口を使用することが多いようです。
これは、『故人の魂が迷って、この世に戻ってこないように』と言う意味が込められているようです。

また、火葬場からお骨が戻ってきた際には、家中の出入り口に味噌と塩を置くという風習がある地域もあるようです。

念仏講・観音講

山形県では古くから、『念仏講』や『観音講』などと呼ばれる近隣住民の集まりがあり、通夜や葬儀の前後などタイミングは地域によって異なりますが、年配の女性たちが仏教の教えを和歌にした『御詠歌』を詠います。

御詠歌は鉦などを鳴らしながら賑やかに行われるため、市街地では見られることも少なくなっているようですが、農村地域や寺院で葬儀が行われる地域では今でも行われているようです。

葬儀

日本では全国的に、葬儀の日取りは友引を避ける習慣がありますが、鶴岡市では子と丑の日を避けるしきたりがあり、ご飯を供える際にお茶碗の周りに半紙で三角巾を作りつけます。

また、酒田市では友引と寅の日を避ける習慣があるようです。

山形県では、葬儀の後も自宅に弔問に訪れる方も多いので、自宅にも返礼品を用意してあります。

取り越し法要

近年では葬祭儀礼の簡略化に伴い、葬儀の後に初七日の法要を行う「繰り越し法要」も一般的になりましたが、山形県では五七日(35日目)の法要も、四十九日や百箇日の法要を兼ねて、葬儀の後に済ませてしまうことが多いようです。

繰り越し法要の中でも、このような形式を『取り越し法要』と言います。

取り越し法要の習慣は東北地方の他県でも見られる風習で、親族に度々足を運んでもらうのは申し訳ないとの考えから生まれた習慣のようです。

野仁義(のじんぎ)・字仁義(あざじんぎ)

南陽市の一部では、葬儀当日の出棺から葬儀の時間帯などに、近所の方々が式場へ参列するのではなく、自宅へ弔問に訪れ、お焼香と香典を持参する習慣があります。

野仁義』や『字仁義』などと呼ばれる風習で、ご不幸がある家に対して同じ地区の方々による互助制度とも言えます。

まとめ

山形県の葬儀の習慣は、東北地方の他県と似通ったものも多いですが、県内の地域によっての違いが大きいのが特徴です。
これは、明治維新前に村山地方(他に寒河江市など)、最上地方(新庄市など)、置賜地方(米沢市など)、庄内地方(鶴岡市、酒田市など)に、さまざまな藩が置かれ、小さく分かれていたためです。

東北地方の他県同様、冬季は深い雪に覆われ往来も困難だったことから、古くからの相互扶助の意識が今でも強く残っています。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。