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【地域別】葬儀の特徴~宮城県編~

2021年3月6日

ども まことじいさんです。

葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。

じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。
通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。

このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。
今回は宮城県編です。

契約講

近年では核家族が進み、ご近所付き合いも希薄になる傾向がありますが、宮城県では現在も「契約講」などの近隣住民の集まりが、葬祭の手助けをすることがあります。

喪主は、葬儀社に連絡をすると同時に、契約講の代表者にも連絡を入れることが多いようです。

火葬

宮城県でも東北地方の他県と同様に『前火葬』が主流です。

東北地方は冬季は深い雪に覆われるため、交通手段が現在ほど進む以前は移動も困難で、葬儀に駆け付けるのに時間がかかったため、ご遺体が傷まないように先に火葬する習慣が根付いたようです。

宮城県では通夜の後に火葬を行い、葬儀は遺骨を祭壇に安置して行う骨葬が多いですが、気仙沼市では通夜の前日に火葬が行われることが主流です。

『前火葬』の場合、最後のお別れにお顔を拝むことが出来ません。

お顔を見てからお別れしたい場合は、事前に火葬のタイミングを確認しておく必要があります。

天冠・宝冠

宮城県北部の大崎市や登米市では出棺の際、遺族が故人と同じ格好をする風習があるようです。

男性は「天冠」または「宝冠」と呼ばれる三角形の布を額につけ、女性は白い頭巾を被ります。

これは、故人と同じ格好をすることで、旅立ちを共に見送るという思いからの風習のようで、出棺後に外します。

出棺後に布を外すのは「旅立ちは故人一人で、他の人を連れて行かないで欲しい」という考えからのようです。

この『天冠』は、故人が閻魔大王と謁見する際に、身に付けていないと失礼に当たると言われています。

しろぶかし

宮城県のお通夜では、「白ぶかし」という、もち米に白ササゲ豆を混ぜて蒸かしたおこわを振る舞う習慣があります。

かつて土葬が主流だった頃は、棺をお墓まで運ぶのは重労働でした。
そのため、力をつけるためにこのようなおこわを振舞うようになったようです

香典を受け取らない

通夜・葬儀ではお香典を包むのが一般的ですが、宮城県南部の白石市では葬儀の際は香典を受け取らないこともよくあるそうです。

ただし、全ての喪家が受け取らないというわけではないので、白石市の葬儀に参列される際は、確認と取っておく方が無難かもしれません。

香典返し

宮城県でも東北地方の他県と同様に、受付で香典と引き換えに返礼品が渡され、改めて香典返しをすることは少ないようです。

相互扶助の意識が高い東北地方ならではの習慣です。
宮城県の返礼品はほとんどの場合、お茶が用いられるようです。

土葬

近代になってからは、日本中のほとんどの地域で、土葬に替わって火葬を行うようになっていますが、宮城県北西部には今でも土葬が行われている地域があります。

この土葬の風習は今でも山梨県や和歌山県、三重県、高知県の一部地域にも残っています。

土葬をする際は、豆、蕎麦、稗、粟の五穀を混ぜ合わせたものと紙に100万円、1,000万円などと書いて棺に入れているようです。

このような、紙に金額を書き故人に持たせる風習は、東北の各県にも残っています。

東日本大震災の時は、火葬施設が稼働できなかったため、東松山市で仮土葬が行われました。

現在、法律的には土葬することは問題ありませんが、実際のところ日本では葬儀の99.94%が火葬されており、自治体によっては条例で土葬を禁じている地域もあります。

そのため土葬可能な霊園はかなり少なくなっています。

お金を撒く

宮城県北部の石巻市や登米市などでは葬列を行う風習が今も残っていますが、その際に故人の年齢の数だけ10円玉や100円玉を懐紙に包んで一般会葬者に配る『まき銭』という習慣があります。

今では撒くのではなく受付で一つずつ配ることが多いようです。

取り越し法要

現在では、葬祭儀礼の簡略化に伴い葬儀・告別式の後に初七日の法要を繰り上げて行うことも多いですが、宮城県ではこれを100日まで繰り上げ、「百箇日法要」までを行うことが多くなっています。

雪深い地域で何度も足を運んでもらうのは申し訳ないとの考えから生まれた風習のようです。

繰り上げ法要のなかでも四十九日や百箇日まで繰り上げて行う法要を「取越法要(とりこしほうよう)」といいます。

お墓に草履を供える

宮城県では、忌日である三十九日もしくは四十九日のお墓参りの際に、雪駄や草履を供えることが多いようです。

仏教では、人は亡くなると来世に向けて49日間の長い旅に出ると考えられているため、葬儀の際は経帷子の旅装束を身に付けますが、その旅の途中で足元が傷んではいけないとの考えから生まれた風習のようです。

まとめ

日本では現在、全般的に地域の交流が少なくなっていますが、念仏講や契約講などという形で東北地方では今も助け合いの精神が受け継がれているようです。
厳しい気候条件の中で生きてきた東北人の、生活の知恵ともいえる素晴らしい地域性ですね。

宮城県では土葬を行っていた頃の習慣が、今でも多く残されていますが、出棺の際に天冠を身に付けたり、しろぶかしを振舞う点などが特徴的です。

他にも地域によって様々な風習が残っているようですので、宮城県の葬儀に参列される方は事前に確認しておいた方が良いかもしれません。

なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。