【葬儀・お墓・資産】元気な今だからこそ話し合っておくべき理由
ども まことじいさんです。
もし、あなたの大切な人が余命宣告されたら、その後について落ち着いて話し合いができる自信がありますか?経験者の立場から言わせてもらうと、正直言って難しいと思います。
じいさんの母は、乳がんで亡くなったのですが、発見時にはステージ1だったこともあり、手術すれば大丈夫だと本人も家族も思っていました。
しかし、術後1年も経たないうちに肝臓に転移が見つかって、その半年後には肝硬変のため緩和ケア以外できることは無くなってしまいました。
そんな状況で、葬儀や本人が亡くなったあとのことについて、話をすることなど到底できませんでした。
残念ながら、葬儀やお墓・資産について話をすることができるのは、本人が元気な時だけです。
別にあらたまって「葬儀について話し合っておきたい」などという必要はありません。ただ、元気なうちにコミュニケーションを取るように心がければよいだけです。
じいさんは、母が実際に余命宣告を受けるまで、何も準備していませんでした。そのため、母が亡くなってからとても後悔しましたし、困ったこともたくさんありました。
そこで今回は、事前に準備しておけばよかったと感じたことについて、経験者の立場で書いていきたいと思います。元気な時だからこそ出来ることもたくさんありますので、じいさんと同じ失敗をしないように、ぜひ最後までお読みください。
目次
葬儀・お墓のこと
遺影用の写真
現在では核家族化が進んでいるため、両親とは遠く離れた土地で暮らしている方も多いと思いますが、こういったケースでは遺影に使う写真探しが難航することがあります。年齢を重ねると写真を撮る機会も減ってきますので、ひどい場合は20年以上前の写真しかないということもあります。
ですが、帰省や旅行などの機会に写真を撮るようにしておけば、そのような心配はなくなります。一人で写真を撮るのは嫌がる方でも、子供や孫といっしょなら快く撮影に応じてくれるでしょうし、自然な表情の写真を残すことも出来るでしょう。
また、人は身体が弱ると表情も暗くなりがちですので、出来るだけ元気なうちに写真をたくさん撮っておくことをお勧めします。
「遺影」と聞くと、不自然に喪服を合成された写真が、黒い額縁に入れられたものをイメージされるかも知れませんが、写真の加工技術が進んだ今では、遺影のイメージは全く変わっています。正面から撮影された硬い表情のものよりも、やや斜め正面向きでくつろいだ表情のものの方が、生前の印象に近くなります。
また現在では、背景もキレイに花や緑などを自然な感じで合成してもらえますので、後ろに映り込んでいるものは気にしなくて大丈夫です。もちろん他の方と一緒に写っている写真でも問題ありませんので、家族にとって一番良い表情だと感じる写真を選びましょう。
じいさんは母の遺影をダイニングの壁に飾っているのですが、葬儀社で用意してくれた額縁の中からシャンパンピンクを選んだので、昔のような暗い雰囲気ではなく壁に飾っても違和感はありません。
微笑んでいる姿を納めた写真が、母がいなくなった日々の寂しさを、少しだけまぎらわせてくれています。
菩提寺や付き合いのある寺院の有無
現在では、お墓が公営や民営の霊園に建てられていて、菩提寺を持たない方も増えており、自分の家の宗派を知らない方も多いようです。
家族を亡くした場合、遺体安置後に最初に行う葬送儀式は『枕経』ですが、この『枕経』は自分の宗派の僧侶に依頼する必要があります。僧侶によって『枕経』を終えてからでないと、線香をあげることも出来ませんし、葬儀の打ち合わせも進みません。(仏教以外を信仰されている方は、宗旨により異なります)
菩提寺や付き合いのある僧侶がいない場合は、寺院手配を葬儀社に依頼することも可能ですが、故人の宗派が分からないと手配のしようがありませんので、意識がはっきりしているしているうちに、確認しておくことをお勧めします。
親しい知人
自分の身内の親族に関しては、ある程度は把握されていると思いますが、離れて暮らしている身内の友人知人について、知っている方は多くないでしょう。故人を家族だけで送り出す場合は問題ありませんが、亡くなった方が友人知人の参列を希望されていた場合は、連絡先を確認しておく必要があります。
じいさんは母の友人や知人に関して、ほとんど知らなかったので、限られたごく一部の方にしか葬儀の連絡ができませんでした。そのため、あとから人づてに母の死を知った友人の方々には、わざわざ自宅に足を運んでいただくことになってしまいました。
元気なうちなら、会話の流れの中で自然に聞けることも、いざ余命宣告を受けたり、明らかに体が弱ったりしてからでは切り出しにくくなりますので、健康なうちに話しておいた方が良いと思います。
互助会などの加入状況
現在70代以上の方は、冠婚葬祭互助会に加入している方が非常に多く、かなり以前に満期になっている積立金を持っている可能性が高いです。冠婚葬祭互助会に積み立てたお金は、満期後何十年たっていても利用可能ですが、その互助会で行う結婚式や葬儀にしか利用できません。
じいさんの母も、かなり前に冠婚葬祭互助会の積み立てを行っていましたが、じいさんがそれを知ったのは、母が亡くなる少し前でした。実際にその冠婚葬祭互助会を利用して葬儀を行いましたが、会員特典の割引やサービスも受けられましたし、積立金を葬儀費用に充当できたので、とても助かりました。
数十年前に満期を迎えた積立金については、加入者本人も存在を忘れていて、家族に伝えていないケースも多いようですので、無駄にならないように一度きいてみてはいかがでしょうか。
葬儀について
現在では、約8割の方が病院などの医療機関で亡くなると言われています。病院で亡くなった場合、基本的には当日中に自宅や葬儀社の安置施設に搬送することを求められます。
その時点で利用する葬儀社が決まっていれば、搬送依頼の連絡をすればよいのですが、もし決まっていない場合は、病院と提携している葬儀社の利用を打診されることがあります。
身内を亡くした遺族は、半分放心状態のまま病院と提携している葬儀社に任せてしまう事も多いようですが、あまりお勧めできません。葬儀社は病院と提携するために、何らかの形で病院側に利益供与をしていることが多いため、利用者への請求が高額になるケースもあります。
コロナ禍で亡くなった方は、感染防止のため遺体袋に入れた状態で搬送され、荼毘に付された遺骨となって家族に返されるのですが、その際に相場の何倍もの高額な費用を請求する葬儀社が問題になったりしています。
病院と提携している葬儀社が、すべて高額請求をするわけではありませんが、できれば避けておいた方が無難です。このあたりの事情については【身に付けたい】ボッタクリ葬儀社の見分け方と対処法で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
上記のような理由から、できれば利用する葬儀社だけでも決めておくことをお勧めします。葬儀内容まで決める必要はありませんが、複数の葬儀社から資料を取り寄せて、費用や内容を比較検討した上で、自分に合った葬儀社を選んでおけば安心です。
お墓の事
一般的に、亡くなった方の遺骨は四十九日の法要を済ませたあと、家のお墓に納骨されることが多いですが、中には「海洋散骨」や「樹木葬」「永代供養墓」などを希望される方もいます。できれば故人の希望に沿ってあげるのが一番良いのでしょうが、親族からの反対にあうことも多いようです。
また、お墓については継承される方にとっても大切なことですので、普段から折をみて家族でしっかり話し合っておいた方が良いでしょう。
資産等のこと
保険の加入状況
亡くなった方が、生命保険や医療保険・がん保険など、いざという時のためにきちんと用意していても、家族が知らなければ意味がありません。なぜなら、どのような契約内容の保険でも、保険金は請求しない限り支払われることはないからです。
また、男性の方は現役世代の頃に加入した比較的高い保険を、そのままにしているケースも多いのですが、本来必要ない保険になっている場合もありますので、一緒に見直してあげる必要があるかもしれません。
特に、離れて暮らしている身内がいる方は、しっかり把握していないと無駄になってしまう事が多いので、普段から出来るだけ家族内で共有しておいた方が良いでしょう。
デジタル遺産
インターネットの普及により、近年ではさまざまな取引などの情報がデジタル化されていますが、こういった情報は目に見えない存在であるため、家族にも気づかれないことが多いようです。
このような情報は『デジタル遺産』と呼ばれており、主に以下のようなものがあります。
- ネット銀行預金
- ネット証券投資
- 仮想通貨
- 投資型クラウドファンディング
- ネット上での貸し付け
上記のような『デジタル遺産』には、通帳や登記書類などが存在しないため、後になって発見されて分割協議がやり直しになるようなケースもあるようです。また、負債のようなマイナスの遺産が相続後に発覚した場合は、残された家族の負担になることもあります。
もし、こういったサービスを利用している方が亡くなった場合は、ログインできないと手続きが煩雑になるケースもありますので、可能な範囲で情報共有しておいた方が無難です。
自宅の名義
亡くなった方が持ち家に住まわれていた場合は、自宅も相続の対象になりますが、家や土地の名義人が亡くなった方以外(祖父や曾祖父など)の場合は、全く付き合いのないような親族が相続対象者に含まれることもあるため、相続協議が停滞する恐れがあります。
相続登記を怠っていた場合は、あとから思わぬトラブルに発展することもありますし、戸籍の追跡が必要な場合は費用もそれなりにかかりますので、親世代が元気なうちに登記の確認をしておいた方が良いでしょう。
まとめ
今回は、じいさんの経験や後悔をもとに、いつか訪れるときのために元気なうちにしておくべきことについて書いてきましたが、じいさんの経験したことは誰の身の上にも起こりうることです。どうか自分自身の問題として一度ゆっくり考えてみてください。
現在では『終活』という言葉も一般的になり、いざという時のために「エンディングノート」を用意して、自分の希望についてしたためている方も多いようですが、その「エンディングノート」の存在を家族が知らなければ見過ごされてしまいます。
離れて暮らす親と頻繁に会うことは難しいかもしれませんが、今ではテレビ電話などを利用するなど、顔を合わせてコミュニケーションを取る手段はいくらでもあります。また、たまに帰省した際などに、ゆっくり話をする時間をとっておけば、相手の気持ちを感じ取ることも出来ると思います。
子供が成長して手がかからなくなったタイミングで、少しだけ意識を親に向けてあげることができれば、後悔することも少なくなると思います。また、子供が成人して以降は、大人同士として自分自身のことも少しずつ子供に話しておくように心がけると良いと思います。
普段はほとんど意識することが無い「死」というものについて、時には向き合ってみることも大切なのかもしれません。そうすることで、もしかしたら「生きる」ということについても、何か発見があるかもしれませんね。
もし この記事が誰かの役に立てば幸いです。
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