【地域別】葬儀の特徴~長野県編~
ども まことじいさんです。
葬儀の風習なんて、地元でも知っている人は少ないですよね。
じいさんは遠州地方(静岡県西部)在住ですが、元々は関東出身で遠州地方の風習に詳しくありませんでした。
母が亡くなった際に調べたところ、葬儀に関しても地方独特の風習があって驚きました。通常、白木の位牌から本位牌への切り替えは四十九日の法要の時に行われますが、遠州地方では初盆から一周忌法要の間に行われます。
このような地方独特の風習はどの地方でも見られますが、知らない人も多く葬儀の際に慌てることもあると思いますので、まとめておこうと思います。今回は長野県編です。
長野県は南北に広く、地域ごとに独自の風習が残っています。
長野県の葬儀では首都圏とは大きく異なり、通夜の後に火葬を行う『前火葬』が80%以上と主流です。
日本全国でも神道信者が多い県であり、地域によって異なるものの、神式葬儀が30%以上を占めています。
目次
門牌
長野市を中心とした北信地域では、不幸のあった家では葬儀終了まで家の前に門牌(もんぱい)と呼ばれるものを置きます。
90cmほどの大きな位牌の形をした板に、寺院の手で戒名を書いて頂き、高さ70㎝ほどの二段の台に縛り付けて花と水を置きます。
この風習は、かつては農作業のかたわらに、供養した名残といわれています。
生活改善方式・公民館方式
佐久地域では、「生活改善方式」や「公民館方式」などと呼ばれる、葬儀についての指針があります。
葬儀・告別式の際、華美になりすぎないように、香典や供物、花輪などの出し方が指導されています。
なお、生活改善方式では、告別式に1000円を包むものとされています。
喪主も半返しとして、500円ほどの返礼品を用意します。
佐久地域では、現在においてもその指針に則り、葬儀を執り行うのが一般的ですが、1000円という金額を包み合うのは一般的に地域内に住んでいる方々です。
他の地域の方については、この限りではなく、故人との関係性などで金額は変わってきます。
隣組
都市部ではあまり見られなくなりつつありますが、長野県の農村部などでは、今でも近隣組織が強力に機能していて、「隣組」と呼ばれる近隣組織が通夜や葬儀を取り仕切ります。
お葬式の手伝いは、地域の大切な仕事として、会社を休んででも出席すべきものという認識があり、そうしたしきたりに慣れていない都市部からの移住者などは、戸惑うこともあるそうです。
お見舞い
一般的に、通夜・葬儀に出す香典の表書きは「御霊前」ですが、長野県では、故人と親しかった一部の参列者に限り、香典とは別に紅白の水引をつけた「お見舞い」を添える習慣があります。
この習慣は、故人が入院中に、お見舞いに行けずに申し訳ないとの気持ちを表したもののようです。
火葬
長野県内では、地域によって火葬のタイミングが異なり、通夜の翌朝の葬儀の前に荼毘に付す『前火葬』を行う地区と、葬儀の後に出棺して火葬する『後火葬』を行う地区に分かれます。
前火葬
松本市をを中心とする中南信地域では、葬儀の前に火葬をする『前火葬』が主流です。
『前火葬』雪深い東北地方で多く見られる風習で、参列者が積雪のために葬儀にに到着する前に、遺体が傷んでしまわないように行われています。
松本市周辺は長野県内でも積雪量が多いため、同様の形式で、葬儀が営まれるようになったと考えられます。
葬儀の前に火葬が行われてしまうため、葬儀・告別式は遺骨を祭壇に安置して行う『骨葬』となります。
最後のお別れに、故人のお顔を拝みたい方は、火葬される前に駆け付ける必要がありますので、訃報を受け取った時点で、その旨を確認しておくことをお勧めします。
後火葬
長野県では、ほとんどの地域の葬儀で『前火葬』が行われていますが、長野市を中心とする北信地域では、関東地方などと同様に、葬儀の後に火葬を行う『後火葬』が多いようです。
いろ
葬儀後に火葬をする地域では、遺族が『いろ』と呼ばれる白い布を肩にまとって、火葬場へ赴く風習があります。
仏教の教義の中では、白は俗世と浄土を結ぶ色とされており、白い布を身に付ける事で、故人を浄土の近くまで見送る事が出来ると考えられているようです。
精進落とし
地域によって、通夜の席や葬儀の後などタイミングは異なりますが、通夜や葬儀の際に食事を振舞う習慣は全国に存在します。
長野県では、この会食の呼び方も、それぞれの地域によって違うようです。
長野地区では、『お斎(おとき)』と呼ばれ、食事の最後には「そば」が振る舞われることが一般的です。
また、中信地区では『忌中払い』や『棚あげ』と呼ばれ、最後に振る舞われるものは「うどん」が多いようです。
長野県大町市周辺では、『直会(なおかい)』と呼ばれ、供花や供え物をしてくれた人に対し、『直会』の席でビール券などをお礼として配る風習もあるようです。
佐久地域では、葬儀後の『灰寄せ』と呼ばれる会食には、特に関係の深かった方々や、親戚縁者の方々のみがお食事の席につかれます。
『灰寄せ』に招かれる方には、あらかじめ家族から通知があり、その知らせを受けた方が席へとつきます。
そのため、席順表などが用意され、着席される場所もあらかじめ決まっている事が多いようです。
数珠回し
北信地方の一部の町村では、葬儀の夜に「隣組」などの近隣住民が集まり、念仏を唱えながら2mほどの大きな数珠を回していく『数珠回し』や『お念仏』と呼ばれる風習があります。
地域によって、数珠の大きさや行なう日取りが違うようですが、故人への追善供養として行われているようです。
このような習慣は『百万遍』などと呼ばれ、日本各地に残っています。
まとめ
長野県は、長野市を中心とした北信、上田市を中心とした東信、松本市を中心とした中信、飯田市を中心とした南信の4つの地域に大きく分かれており、文化や方言、郷土料理などもそれぞれに違いがあるようです。
これは、山や盆地、交通などの地理的な要因や、かつて藩が分かれていたことによる、歴史的な理由によるもののと思われます。
当然、葬祭儀礼にも違いがみられ、同じ『前火葬』でも、葬儀前日の夜に納棺する地域と、葬儀当日の朝に納棺する地域に分かれていたりと違いがみられたりします。
『前火葬』が行われている地域の葬儀に参列される方は、葬儀の時点で遺骨になってしまっているため、注意が必要です。
なお、今回は参列される方向けに記事を書いていますが、喪主の方は事前に多くの準備が必要となります。『【通夜・葬儀】事前に準備しておくべきこと』で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
もしこの記事が誰かの役に立てば幸いです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません